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冬の夕暮れ時、男が山仕事を終えて道を下っていると雪が降ってきた。
足を停めて空を仰ぎ、ひらひらと舞い降りてくる雪片を眺めていると
ふいにその動きが止まり、中空に静止してしまった。

驚いて声をあげると、一瞬後、雪は何事もなかったように静かに落ちてきた。

家に帰ると、女房が少し驚いたような調子で言った。
「あれ?忘れものかい?さっき出て行ったばかりじゃないか」
戸口から振り返ってみると、山の向こうから朝日が昇ってくるところだった。