夕暮れ、茜色に染まる薄野原を歩いていた時のこと。 すぐ側でガサガサと音がするので、何かなとそちらに向かってみた。 2021年10月26日 カテゴリ:不可解な話 夕暮れ、茜色に染まる薄野原を歩いていた時のこと。すぐ側でガサガサと音がするので、何かなとそちらに向かってみた。薄の茶色葉の間を、白くて細長い物が一本横切っている。彼の胸くらいの高さで、両端はどちらも薄に埋もれて見えない。一瞬、大きな蛇かと思ったが、よく見ると鱗がなく柔らかそうだ。見ている間もズリズリと薄の間を移動しているよう。尻尾を見てやろうと、しばらく待ってみた。やがて現れた末端に、尻尾は付いていなかった。女のものに思える細い手が、彼の目の前を横切って薄野に消えた。しばらく硬直したまま動けなかったという。必死で足を動かし、何とか日が暮れる前に薄野原から出たそうだ。 「不可解な話」カテゴリの最新記事 コメントする コメントフォーム 名前 コメント 評価する リセット リセット 顔 星 投稿する 情報を記憶
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