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中学生の時分、実家へ里帰りした際のこと。
幼い従姉妹と遊んでこいと言われた彼女は、勝手知ったる裏山へ出かけた。
自分もよく遊んでいた場所だ。子供が喜びそうな場所はわかっている。

そんなポイントを連れ回していると、黒い沼が現れた。
ああ、そう言えばこんな所にこんな沼があったっけ。
そう思っていると、従姉妹がグッと足を踏ん張った。
どうしたの?と問うと、青ざめた顔で訴えてくる。

「昨日ね、一人でここまで来たの。
 その時ね、首の長い女の人が居たんだよ。」

女は水の中に腰まで浸かっていたらしい。
緑色のワンピースの上から長い首が伸びていて、従姉妹を嬉しそうに眺めていた。
目が異様に大きくて、長い黒髪からは水が滴っている。
とんでもなく怖かったので、必死で逃げ帰ったのだという。

だから近づきたくない。従姉妹が泣きそうに言うので、沼を避けて通った。
そう言えば、私もなぜかこの沼には近よらなかったんだよなぁ。
従姉妹の話も、やけにリアルに情景が頭に浮かぶし。
忘れているだけで、自分もその女性を見ていたりしてね。

そう言って彼女はコロコロと笑った。