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庭でカタバミをかき分けながら
四つ葉のクローバーを探していた小学生の私を見て
母がクローバーのある所に連れて行ってくれると言った

妹も連れてレンゲの咲いている田んぼへ向かう
が、養蜂の巣箱があちこちに置かれ、ミツバチが飛び交うのを見て
刺されてはいけないと思った母は山の方へ向かった

山と言っても小さな里山 子供の足でも十分歩けた
少し山に入った川沿いにちょっとした草っ原があって、そこにシロツメ草のじゅうたんが広がっていた
甘い香りのする白い花に囲まれながらどこから探そうとうろうろしている内に
妹が四つ葉のクローバーを見つけてしまった

先を越されたのが悔しくて焦るが、ますます気が散って見つからない
そして最初に見つけたのは五つ葉のクローバー
四つ葉でなくて内心ガッカリしたが、妹に五つの方が価値があると空威張りした
そうなると妹も負けず嫌いでもっと多い葉を探そうと、何だか競争のようになった

やがて山菜を採りに行っていた母が戻ってきたのでこちらも戦利品を見せた
すると、母の顔色が変わった
折角の戦利品を母は捨てるように言い、私達の手を掴んで引きずるようにして帰宅した
妹は折角見つけたクローバーを捨てるのが嫌でぐずって泣いた

私は別に捨てるのは惜しくなかった
七つ葉や九つ葉のクローバーはクシャクシャしていて
何だか奇形の指がたくさん生えてるみたいで気持ち悪かった

その年から何故か養蜂家が来なくなり、それ以来巣箱とミツバチを見ていない