zu619DSC_9462_TP_V

相模原の実家(今は東京)でのこと。
俺んちから見て北側に広い畑をはさんで、何軒かの建売があった。

その一番西側の家に出るんだよ。
俺の母がいわゆる「見える人」。
まぁ、母はそのころアートフラワーの先生やってたから顔が広いんで、ウワサかなんか聞いたらしく出る家の人が訪ねてきた。
出る家は鉤形をしていて、その一番西の端の部屋に毎晩、江戸期と思われる親子の霊が出る。
西の壁を突き抜けて来て、そのまま東へ抜け、その家の庭の池で水を飲むのだそうだ。

位置関係からいって、畑をはさんで更に西にある古い地元の地主さんの内墓(うちばか)から来るようだ。
たしかに対角線になっていて、霊ってヤツは最短距離を進むらしい。
最初は子供部屋だったが怖がるので客間にし、親類なんかが泊まったが、やっぱり怖がる。
「何とかして欲しい」とのことだった。   

母は
「夕方にきれいな湯飲みに水を汲んで、西側の内墓に一番近い敷地内に置きなさい。
何日か続けて水がなくならなくなったら、もう来ないから」
出る家の人は母の言うとおりに続けたらしい。

恐ろしいことに水は一晩でカラになり、朝には乾いているのだ。
仰天したが、とにかくせっせと水を運び続けた。
そしたら一週間後ぐらいに水がなくならなくなったそうだ。

でも心配なので2~3日続けたが、2度と水がなくなることはなかった。

これは出る家の人がお礼を持ってきたときに本人から聞いた話。