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地元の山なんですが、たんなる雑木林だけのつまんない山だったんですが、 
高校の頃に何故か友達三人で山登りみたいなことしてました 

友達の名前は仮にAとA`としておきます 

本当なんでもない山で獣道みたいなものしか無いのでひと気なんて何もありません 
なぜそんな所に三人で行こうと思ったか今では思い出せません 
草をかき分けかき分け登っているうちに最後尾にいたはずのA`の姿が見えなくなってるのに気がつきました 

しかし一本道ですので他にいく所なんて無いのです 
とすれば何も言わずに山を降りたのかもしれません 

しかし何故? 

僕とAは急いで山を降りました 
しかしA`の姿はどこにもありません 

「おいAよ、あいつどうしたんかなあ?家に帰ったんかな?」 

僕はものすごい不安になりました 
しかしAは無表情で何も言いません 
しばらく沈黙が続いたのちに急にAが大笑いを始めます 

「あーっははははははははは!そうか、そうやったんか!」

何がなんだかわからずにバカ笑いするAを見てるしかありませんでした 
こんだけ笑ってるってことは何かの冗談だったのかという期待をもつしかありません 

「なんやどうしたんや!教えろや!」 

「簡単な話よ、A`なんか最初からおらんかったんや。俺とお前の二人で山に行ったんやった。何を勘違いしてたんやろ?」 

僕はAが何を言ってるんやろと思いました 
だって三人で登っていたのは間違いないのです 
でもAに真顔でそう言われるとそんな気もしてきました 

今考えればおかしな話ですがそれが人間の弱さってもんですかね 
Aはどんどん家のほうに歩いていって、帰ろ帰ろとか言っています 

僕もそれについて行きました

そして町の神社のところを通りかかった時です 
神社の神主さんが社務所から血相をかえて走ってきて僕らに怒鳴りました 

「お前ら、なんちゅうもんを連れて帰ってきてるんや!!!」 

僕とAは神主さんにこっぴどく叱られ、何かのお祓いをされてお札を渡されました 
その時に神主さんにA`の件を話しました 

「A`?誰やそれ?そんな子はわしは知らんで。それよりもな、あの山には二度と近寄ったらあかん。 
あの山に入って生きて下山できた人間は一人もおらんきな」 

僕はぞっとしました 

それからすぐに僕は家庭の事情で他県に引っ越しましたのでAとA`がどうなったのかは知りません 
ただ、あの山の祟りは僕につきまとって離れなかったようです 

それから10年は経つのですが、とうとう統合失調症の診断をもらってしまい何度も入退院を繰り返しています 

僕らが何か悪いことをしたのでしょうか 
あまりに不可解な事件ですが、かなりの確率でAまA`もこの世にいないと確信出来ます 
しかしあの山は一体何だったのでしょうか 

これを読んだあなたはくれぐれも遊びで山には入らないことです