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死にたがりな時期ってあるじゃん。

オットー・ワイニンガーとか山口ニ矢とか若くして自死を選択するのに憧れるってヤツ。 
たいした思想を持っているでなし、そういった必要に迫られているわけでもないし自害を試みた経験も無い。 

自分で自分にトドメをさす事はなんか出来そうになかったんだ。 
そんな自分だから死に至る状況を作ればいいかなっていう軽いノリで冬季閉山されてるある山に登りにいったんだよ。 
バイト帰りにに終電でその山の近くの駅まで行って登ったこともない山だったからどこから入ればいいかわからなくてさ。 
山の周りをウロついて何も植えられてない畑みたいのを横切って山に入ったんだ。 

麓は表面が軽く凍った雪なんだけど山中の雪はサラサラしてるんだなってその時知った。 
しばらく獣道というか歩きやすそうなトコを進んでいたんだけど自転車同士が余裕ですれ違えるくらいの幅道になって月明かりだけが頼りだから俯いて歩いてたんだよ。

そしたら急に、なんていうのかな。行儀悪いけど携帯とかスマホとかいじりながら道歩いてて前から人が来そうだなって時、無意識に半身になって避けるじゃん。 
歩いてたらヒョイッって避けたんだよ僕が。 

自称零感だしそういった気配とか感じたこと今までなかったしオカルトの存在を信じてなかったんだけど 
その時はなんかいたなーって他人事みたいに思ってた。 
結局、朝まで歩いて尾根まで行って沿って歩いたら下山ルート書かれた看板があって家に帰ったんだけど今ではそういうの、出来過ぎじゃないかー?みたいの以外は信じてるよ。 
なんだったのかね。