KAZ829016_TP_V

割と出ると噂の山道に、数人でドライブに行ったそうだ。 
当時は、カーステなどもまだまだ高く、MYBESTを吹き込んだテープなる痛いものを 
作って、自動車内でラジカセで流していたそうだ。 

山道は、離合も出来ないぐらい狭いが、対向車が来なかった為、気持ちよくドライブ 
していたら、後部席に座っていたやつがいきなり頭を抱えて震えている。 
どうしたんだと聞いたら、こんな事を云ったそうだ。 
「森の中に赤い服が見えた。こんな時間にと思ってよく見たら、小学生ぐらいの身長 
の女性が宙に浮いている。そして、ぎょろっとした目でこちらを見ている。一瞬視線が 
合って、それからずっと見られている気がして・・・」 
「おいおい、お前以外誰も何も感じていないぞ、見間違いじゃないのか?」 
「いや、見間違いじゃない。一緒に何度も出るって場所行ってきたが、これほど怖か 
ったのは今回が初めて。ずっとこちらを見ているんだぜ。体は浮いたまま、視線だけがな。」 

それじゃ、その辺りに戻ろうという話になった。後部座席のやつは、反対したが運転者が 
その気になったので仕方ない。ゆっくりと引き返したが、どこにも人間は見えない。 
この辺りだという場所を徐行しても、真っ暗な森が広がっているだけで、何も無い。 
「残念、○○(後部座席の人)以外は何も見えなかったな。」なんて言っていると、 
いきなりラジカセから女性の声が聞こえてきたそうだ。 

「お か え り な さ い」 

みんな、必死になって逃げかえり、ラジカセを確認したら、どこにもそんな音は入って無かった 
そうだ。