423 : 漁民 ◆6310Dsp4O2 [sage] : 投稿日:2003/07/27 09:06:00
明治生まれだった祖母は、10年ほど前にこの世を去りました。
その祖母の父親、つまり僕の曽祖父にあたる人の話です。
彼は一時期、珊瑚漁の船頭をしていたそうです。
ある時長崎の五島列島のあたりにに漁をしに行ったのですが、
そこで猛烈な嵐に遭遇しました。
当時は気象観測も発達しておらず、台風で沈む船が後を絶ちませんでした。
沖合いで錨を下ろし風雨に耐えていたのですが、
夜も更けた頃、もう限界だということになりました。
そこで、船頭が波を見極め、一番大きな波が来た時に錨を切断して
海岸に乗り上げる作戦を立てたのです。
「今だっ」
曽祖父が合図を出した瞬間に錨綱が切られ、船はあっという間に海岸に乗り上げました。
漁師たちが歓喜したのは言うまでもありません。
とりあえず嵐が収まるまで待っていようということで、皆はそのまま船で待機していました。
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