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当時、京都にある大学に通っていました。
山科というところに住んでいて、京都に引っ越してきたばかりの僕は、
皆さん修学旅行でよく行くであろう河原町にロードバイクで遊びに行っていました。

山科からだと河原町に行くルートが幾つかありますが、
山科に住み始めたばかりであまり道も知らず国道1号線を沿ったルートを走っていました。

もの凄くきつい坂を登った先に車用のトンネルと、その脇に歩行者用の小さなトンネルがあります。

僕は目当ての買い物も済ませ意気揚々と、イヤホンで音楽を聴きながらロードバイクで坂道を汗だくで登っていました。
しかしどうにもペダルが重くしんどかったのを覚えています。

歩行者用のトンネルに入り、中間辺りまで漕いでいると音楽を聴いているのに
後ろから男性の声で「おーい」と僕?を呼んでいる声が聞こえました。

振り返っても誰もいません。
そもそもメインは自動車が通るトンネルであり、車はよく通行していますが人気は全くありません。

聞き間違えだと決めつけトンネルの出口に向かってロードバイクを漕ぎますが
そこで前輪がパンクしていることに気づきました。
トンネルを抜けて程度を確認すればいいかと思い、トンネルを出て直ぐに停止し、
サドルから降りずに前屈みになって前輪を触っていた時に真後ろで何か物凄い音がしました。

振り返るとワンデイ用のリュックサックくらいの大きさの岩石が
ロードバイク後輪の真横10cmも離れていない距離に落ちていました。

見た瞬間は訳が分からず、元から岩石が落ちていたのかと思い込もうともしました。
とにかく自分に当たらなくて良かったとその場では単純に思いましたが、
パンクしたロードバイクを押しながら坂道を下りながら、
トンネル内で聞こえたような気がする人の声を思い出しました。

あれは岩石が落ちてくるから危ないよという意味での警告だったのか、
それとも違う悪意を孕んだ意味だったのか考えるとこの体験を思い出す度に背筋がゾッとします。