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18の頃まで「見えた」私と「聞こえた」弟。
中学生の頃の夏休みの話。

親戚の家に行く途中、私は高速を走る車内から外を眺めていた。
山が連なる単調な景色に飽きていた弟は後ろで寝ていた。
同じような山の中、一つの山の上に何かが見える。

一瞬のことだったが、「それ」は山の頂上から
空に向かって伸びる、長い蛇のしっぽの様に見えた。

「なんやろ、あれ。」つぶやく私に、
寝ていたはずの弟が答えた。

「女の声やけど古すぎてなんて言うてんのかよう解らん。」