0105RFJSK_TP_V

俺は国道418号で、帰路を急いでいた。
国道といってもラリーできそうなくらいの酷道。センターラインとか無いの。

陽も傾いてきて、木々が茂る道はかなり暗い。
対向車を意識しながら必死で車を振り回していて、ふとバックミラーを見ると
車の後ろに『何か』がいる。
ミニバンほどの大きさの黒いカタマリが後ろをついてきている。

間違っても車ではない。走り屋の誇りにかけて、全力で走っている俺を
あれだけの大きさの車が、このペースで着いてこれるはずが無いからだ。
木漏れ日に照らされると『それ』は、所々不気味に赤い光沢を放つ。
表面には皺のような凹凸があり、その隙間から覗く赤黒い光だ。
最も近い表現は溶岩だろうか。だが生き物のように動く『それ』を
無生物に例えるのは大きな間違いのような気もする。
ましてや転がっているわけでもない。音も立てずに着いてくる。

あらゆる可能性を考慮したが、正体がわからない。
俺は素直に興味を覚えた。目の錯覚にしろ妖怪にしろ、俺の理解の範疇を超えている。
純粋な知的好奇心が恐怖心を超えた。
待避所で急停止する。
車を降りようとした瞬間――正面から軽トラが来た。
開けようとしていたドアを反射的に閉め、通り過ぎるのを待つ。
『しまった!』
車内から後ろを振り返るが、この手の話のお約束のとおり
『何か』はすでに消えていた。軽トラを見送るだけだ。

あれは何だったのだろうか。