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黒部川上流のカベッケと呼ばれる場所にテントをはって、その日は早々に寝た。
ふと、物音で目がさめた。数人の足音と、ざわざわとした話し声がする。

やがて、幕営をはじめた気配。
「やけに遅くまで歩いてたパーティだな、途中で迷いでもしたかな」と思ったが、気にせず眠ることにした。
しかし連中、次第にガヤガヤとうるささを増していく。眠れやしない。
仕方ない、一声かけるかと、テントのジッパーを開けた。
月明かりの下、人っ子ひとりいなかった。

ダンナは「カッパに騙された」と申しております