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戦争モノの舞台劇をやったときのこと。
小隊が「ばんざーい!」と叫んで玉砕する佳境のシーン。

兵士一人一人にライトが当てられ、万歳の掛け声と同時にライトが消される演出で、最後は真っ暗の状態で万歳三唱がなされる。

最後にライトが消されるのは小隊長役。
彼が万歳を叫んで消照されたとき、それは起こった。

舞台にいたのは6人。
しかし、万歳三唱は何十人もの声だった。

もちろん、そんな演出はしていない。
6人の万歳三唱だったはずた。

劇が終わった後、小隊長役の人が言った。

「あのとき、舞台の上には俺たち以外の大勢がいた。
いきなり現れたんだ」

真っ暗な壇上から響いてきたのは、何十人という声の万歳三唱。

舞台にいたのは6人で、6人の万歳三唱のはずだった。

劇が終わった後、小隊長役の人が言った。
「あのとき俺たち以外の大勢が、いきなり現れたんだ。
俺たちは、誰一人も万歳三唱してない。出来なかった」