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かずきさんのおじいさんは、末期ガンで入院していた。
かずきさんのおじいさんというのは、太平洋戦争時代、シベリア抑留を耐え抜き帰還した筋金入りの軍人で厳しい人だった。

ある日かずきさんは、おばあさんとおじいさんのお見舞いをしに、病院の個室へ訪れていた。
おじいさんと話をしていると

おじいさんはふと、かずきさんたちの後方、個室のドアの上の小窓へと目をやると、おばあさんにこう告げる。
「帰ってもらいなさい」
おばあさんは立ち上がり、小窓の上へ向かって、「主人がこう申しておりますので」と告げた。
帰り際、かずきさんはおばあさんへ、先程の事を聞いてみた。
すると…

どうやら最近、軍服を着た男が5人、小窓からおじいさんの事を覗いているらしい。という事であった。
かずきさんはおばあさんに
「お迎えがきてるってこと?」と問うと、おばあさんは小さく頷いた
かずきさんは続ける
「かつての戦友が迎えにきてくれてるのかな?おじいちゃん、慕われてたんだね」

するとおばあさんは悲しそうに首を横に振る
「どうやらその軍人というのは
目の青いソ連兵だということなんだよ。おじいさんをまた連れ戻しにきたのかもしれないね」
シベリア抑留…極寒の中、日本兵に強制労働をさせ、食べ物もろくに与えず、多数の死者を出した

翌日、おじいさんは亡くなった