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神戸市の北区っていうなかなかの山上都市に住んどるんだが、10駅ほど離れたところで友人としこたま飲んで、「そしたら帰るわ」っつって店出たのが夜中の二時。


電車も無いし、タクシーは高い。嫁さんを起こして迎えに来てもらうのも忍びない。終電逃しての長距離行は何回か経験してる。
「よっしゃ歩くか」と人気も消えた住宅街をとぼとぼ歩き出すと、すぐに山ん中を通過するのな。これがしょっちゅう崖くずれ起こしてる、竹藪と雑木林に挟まれた真っ暗な道。(有馬口~大池間、この辺ではよく通行止めになるんで有名なところ)

歩道すら無い片側一車線を心細いながらも、酔いに任せてふらふら歩いていったんだが、中ほどに至って、前方の竹藪から何やら「パキッ、パキッ」って物音が響いてくる。
人気なんか無い場所だけど、交通量は多いところだから、最初は「誰か何かしてるんかな?」と思った。事実、もうちょっと先の住宅地の辺りは深夜道路工事思い切りやってたし。

だけど、近づいていくにつれ、人間の物音じゃないと分かってきた。だって、道路沿いの竹藪の中の盛大に音のしているところは、完全に真っ暗闇だったから。あんなところで、人間が何か作業できるもんじゃない。
心底びびったけど、こういう時は逆に立ち止まれないもんだね。俺は慎重に音の鳴る方の気配を察しながらも、そのまま歩いていった。止まる方が恐ろしかったから。

恐る恐る進んで、道路を挟んで反対側、物音のすぐそばにまで近づいても、向こうはこっちにお構いなしに盛大に「パキッ、パキッ」とやっている。俺は、動物なら、ある程度近づいたら向こうも気づいて音が止むと想像していた。
すぐ近くに何かいるが、真っ暗で見えない。しかし、明らかに何か、まあまあ大きい何かがすぐそばで動いてる。っていうのは、なかなか久々に怖かったね。

まぁ、今はイノシシだったんじゃないかと思うが、イノシシだったとしてもその距離だと怖いしね。ほんと、中学生の頃の肝試し以来の恐ろしさだったわ。