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10年位前かな?実家で飼ってた犬が居たんだ。
俺が小学校に上がる時に姉貴が子犬を連れて来たんだよ。
その犬は雑種の雌でね、当時はよちよち歩きだったけど物凄く賢い奴でさ。子犬なのに絶対粗相もせず必ず散歩の時にしかおしっこや排便をしなかった。

我慢強く賢い犬だった。とてもね。
俺はその犬にあいちゃんと名前を付けた。
毎日散歩にも行ったし餌やり水やりもした。

イタズラ好きな俺はクラスの女子をいじめる度お袋にシバかれ泣きながらあいちゃんの小屋で慰めてもらったのは良い思い出。

それから月日も経ち俺は18歳になると実家を飛び出し県外で一人暮らしを始めた。
23歳になったある日にお袋からあいちゃんが死んだと聞かされる。老衰だったそうだ。
たまに実家に帰ると元気なかったし、呼んでもしっぽだけパタパタさせてた。
耳もほとんど聞こえてないらしく近寄るまで気付かなかったっけ。なんて色んな思い出を振り返るが不思議に涙は出なかった。
死ぬ前、お袋は庭で寝ているあいちゃんの横で洗濯物を干してたそうだ。

あいちゃんがよろよろと起き上がってお袋の近くをウロウロするそうでお袋は「あ、トイレしたいんだね?いいよそこでしなさい」と、この所はヨボヨボすぎて散歩が出来ないのでいつもこんな感じだそうだ。
お袋がしなさいと言うと初めておしっこやうんちをするそうだ。
夜もお袋は我慢しないでいいんだよと声を掛けていたそうだ。それくらいボケてても賢い犬でその日も例によってそこでしなさいと言うとほんのちょっとのおしっこをしてまた眠りについたそうだ。
それからしばらくしてお水をあげに行った時寝ているあいちゃんを撫でると既に冷たくなっていたそうです。
24歳になって俺は実家で暮らすようになった。

盆の季節にお袋に「あいちゃんの墓参りしなさい」と言われたのだが.....俺はスルーした。
どうしても嫌だったんだよな。あいちゃんが死んだ事を受け入れられないんだよね。だから涙が出なかったのかも。

一年過ぎて25になる歳の盆前だったか。
俺が家でパソコンいじってると「ワン!!!!」って犬の声が聞こえた。聞き覚えのある犬の声。
居間へ行くとお袋が泣いてんだよな。
「今、あいちゃんが吠えた気がした。」
と言うとお袋は「あいちゃん吠えたね」と泣きながら言うんだ。飼ってる猫もすっげぇソワソワしててさ、いつもは入りたがらない俺の部屋へダッシュで入って行くとしっぽめっちゃ太くして外見てた。
俺は今年の盆は墓参り行こうと決め、1人で墓参りに行ったんだよ。
ペット霊苑の一角に墓はあった。

手を合わせた時にさ、いきなり涙がボロボロ流れてきてね....しかも霊苑に居た捨て猫達が一気に俺の所へ走って来た。何故か物凄く俺に懐いて泣き止むまで猫達はそばに居てくれた。
それ以来あいちゃんの吠える声は聞こえなくなった。やっぱり墓参り来てほしかったのかもね。
ペット飼うとやっぱ死んじゃった時の悲しみが半端ないわ...