その日は友達のアパートで遊んでたら終電のがしちゃってさ。
いつものように泊めてもらう気だったんだけど、友達が明日は朝早いから無理ってさ。
そんな理由で?ってねばったんだけど、チャイムが鳴ってさ。
女の子よ。彼女来るから適当な理由で追い出そうとしてたんだよ。
もうね、心折れるよな。「・・・またな」って蚊の鳴くような声だして帰ったよ。
まぁ、歩いて帰るって言っても2駅分よ。早けりゃ30分くらいだろ。
線路沿いに歩いてくことにしたんだ。
駅から離れてくと線路沿いってさ、案外暗いのよ。
車通りの多い大通りはさ、やっぱスペースが必要なのかなとか、線路邪魔だもんなとか。
そんなこと考えて歩ってたらさ。道の真ん中になんか居んのよ。
やたら髪の長い・・・女かな?そもそも髪が邪魔で顔が見えないし。
長い髪の合間から、目がこっち見てる気がする。暗くて見えないけど。
こんなのと関わる訳にはいかん。さっさと通り過ぎよう。
そう思って歩みを早めたんだけど、近づいてくとますます異常さが際立って見えたんさ。
髪長いなんてもんじゃない。体のほとんどを髪の毛が覆ってるようだよ。
ヤバイ奴だよ・・・これ・・・。
そんで横を通り過ぎようとした時よ。サっと・・・手広げんのよ。
左手が2本、右手が1本。もうね、発狂寸前よ。
それでも何か危害を加えてくるわけでも無くて、すれ違えた。
よかったー、胸をなで下ろしたら後ろから何か聞こえるのよ。
「・・・サチエ・・・・・トモコ・・・・サチエ・・・・・・・ヒロノブ・・・」
俺の・・・家族の名前??振り返るとそいつは歩き始めてた。
俺の家の方角。やめろやめろ、そっち行くな。全然止まらん。
「ゆうすけ!ゆうすけ!ゆうすけ!」俺は無我夢中で連呼してた。
「・・・ユースケ?・・ユースケ」
「ゆうすけ!ゆうすけ!」
「ユースケ・・・ユースケ・・・・キョーコ」
そいつはやっと逆の方向へ歩きだした。
あのままだったら俺の家まで来てたんじゃないかと思う。
良かった。本当に良かった。
さっさと帰ろう。
その前に一つだけ確認しておくことがある。
プルルルル・・・ガチャ。
「もしもし?悟?」
「おお、ゆうすけ。お前の彼女の名前ってまさかきょうこじゃないよな?」
「・・・え?」
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反対方向にに歩いてたみたいだけど。
すれ違う時に報告主一家全員の名前を言い、即座に帰宅中の報告主の後をついて来ようとした。
だから反対方向とは、友人宅のある方向。
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