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おれの母親がこどものころ、1キロほど離れた「氷○神社」でよく遊んでいた。
母はその神社の氏子だったので宮司とも顔見知りで、近所の公園なんかに行くよりも神社のほうが安心できたようだ。

秋口の陽の短くなるころだった。
数人の友達といつものように散々遊んでいたが、暗くなってきたので帰ろうということになり
みんなで石段を降りて下の道路に出たのだが、母だけはなんだか遊び足りない気がして、1人
だけ別れて神社に戻った。

戻ったものの友達はいないし所在無く、もうかなり薄暗くなった社殿の周りをグルっとまわって
社殿の裏に差し掛かった時だった。

母は硬直し、一歩も進めなくなった。

暗い杉の茂る社殿の裏一面に無数の白い腕が生えて、まるでススキが風になびくように母を
招いていたのだ。
それが半透明だったのも、母は覚えていると言う。
母はそれがなぜか宮司の腕だと感じた。
母はそれっきり、どんなに誘われても神社に行かなくなった。
もちろん、氏子の特典である祭りの太鼓もたたかなくなった。

母は霊感があるので、その宮司になにかダークな部分があり、それを象徴的に見たのだろう。

おれもその氷○神社を知っているが、2度も不審火を出し、そのたびになぜか「焼け太り」
になっている。