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ちょっと前までは新聞配達用って言うと、カブとかメイトとかあーゆー形のバイクしかなくって。今と違ってみんな苦労してたわけさ。 

まえカゴにいっぱい新聞積んじゃうと、ハンドル重くなってフラフラしちゃうんだ。だけど積まないと取りに帰ってこなきゃいけなくって遅くなっちゃうし。 
だからしょうがなくカゴに積むんだけど、それでスタンド出してバイクとめておくと左いっぱいにハンドルが切れちゃうのね。 

左にハンドル切れてると右のミラーがまっすぐ真上に突き出されるから、バイクを後ろから見ると角度によってはミラーに自分の顔が映ったりするんだ。 
その日も前後にいやってほど新聞積んでさ、バイクを出したんだ。ものすごーーい寒い日だったんだ。よく覚えてる。

ある家の前でバイク停めてポストまで歩いて行って、歩いて帰ってきたらミラーに俺が映っててさ。その後ろに誰かが半分見切れてんの。 


白髪混じりの長い髪で白いひげのおじいさんだった。 ものすごい憂鬱そうな顔して黙って立ってた。 


そりゃ振り向くよね、コンマ01秒くらいで。ww だけどだれもいないしー、もいっかいミラー見たらまだいるし―。 
恥ずかしい話だけど声出ちゃった。「おおーーっ!」とかゆっちゃったよ。www その距離15センチ位。 

近けりゃ怖いという意味では一番怖かったって話。