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実家近くの里道を、夜中に一人で歩いていた。 
暑い夏の既設だったが、山からの風が涼しく心地良かったのだという。 

「喉が渇いたな」そんなことを思いながら歩いていると、行く手に明かりが見えた。 

自動販売機だ。 
「お、あそこで何か買おう」冷たい喉越しを連想し、自然と足が速くなる。 

後少しの所まで近よったその時、パッと明かりが消えた。 
傍に寄ってみると、そこにあったのは壊れてボロボロになった自動販売機だった。 
表面が至る箇所で赤錆びていて、間違いなく使われなくなって久しい代物だ。 

化かされたような気持ちで、そこを後にしたという。 
実家にいた従兄弟にこの話をしてみると、 
「あぁ、あそこって自販機の幽霊が出るんだよ」 
と普通な顔で言われたそうだ。