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ある山中の長い一本道を、真夜中に自動車で下っている時のことだ。 
道の上には彼の車しかおらず、鼻歌を歌いながらノンビリ走っていたという。 

突然、エンジンの音と振動が止まった。 
ガクンとスピードが落ち始める。 
慌てて道ばたに寄せて停車し、キーを回してみた。 
何も問題なく、エンジンは無事掛かった。 

首を傾げながら走り出したのだが、少し進んだ辺りで、再度エンストしてしまった。 
結局その道を下りきるまでに、計四回もエンジンが止まってしまったそうだ。 

翌日、馴染みの車屋に調べて貰ったが、車体には何も不具合はなかった。 
「おかしいな、あの下り坂でだけエンストするなんて」 
車屋に昨晩のことを話したところ、次のように言われた。 
「あぁ、あそこはナメラスジだからな。 
 何でも物の怪の通り道なんだそうで、時折おかしなことが起こるって話だ。 
 夜の一人乗りは避けておくのが無難かもね」 

件の一本道、地元では昔から不思議な場所として名が売れているのだという。 
彼は懲りていないようで、その後も何回か、夜中にエンストを起こしているそうだ。