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フェレット飼ってたんだ。8年一緒に過ごしてたけど病気で死んでしまった。 
しばらくの間は変な錯覚みたいなのあったりしたんだよね、その子が足元に纏わりつくような。 
でもそれは寂しさが勘違いさせてるようなものだったし時間と一緒になくなっていくと思ってて。

その子が亡くなって1ヶ月くらい経った頃、夕飯の買い出し終えてだらだら坂を歩いて登ってたんだ。 
そしたら足元に何かが纏わりつく感覚。いつもとは違って生々しい。 
びっくりして下を見たらネコだった。

そのネコってのがいっつも愛想のない奴で。いつも高いとこから人を見降ろして鋭い眼でじっと見てるの。 
たまに地べたを歩いてるのも見るんだけど常に人間を警戒しながら威嚇してくるようなネコ。 
近所に住み着いてる野良だったんだけど、見たかんじけっこう老猫だろうなとは思ってた。 

纏わりついてたのはそいつだった。

ゴロゴロ言いながらスリスリしてくるんだ。 
時々後ろ足で立って前足ピコピコさせながら。こいつに何が起きたんだ、って思いながらもふもふしてみた。 
暖かかった。顔を触ると嫌がるくせに自分の周りをくるくる回りながらじゃれてくる。 
なんかテキトーな言葉をかけながら、一緒に遊んでた。 
で、呼んでみた。ハル、って。

フェレの名前。思わずそう呼んでしまった。久しぶりに生き物に触れて感極まっただけだった。 
そしたらさ、ネコがピタっととまって尻尾をぴんと伸ばして にゃぁ って応えた。 
思わず涙が出てきて、嬉しいやら寂しいやら感情がごちゃ混ぜになってしまってネコ放置して逃げだしてしまった。 
優しく可愛くじゃれてくんなよ、名前呼んでみただけなのに返事するなよ、お前ハルじゃねーじゃん、て思いながら。 
呼んだのは自分なんだけどさ。

逃げてもついてくるねこ。結局家の前までついてきてしまった。 
そこで待っててよ、て言って、家からカリカリ持って出てきたらネコがまた、 
ピンって尻尾立ててにゃあ、て鳴いた。そしてそのまま走ってどこか行ってしまった。 
飯くらい食っていけばいーのに、と思いながらその日は自分も飯食って寝たんだよね。

で、次の日の朝。なんかうるさい。ガチャガチャ聞こえる。休みだしもう一眠りしようとしたらまたガチャガチャ聞こえる。 
あぁ、ケージの音なんだって分かった。 
怖いっていう感覚はなかったけど、しなきゃいけないことはすぐ分かった。 
 空っぽのゲージを開けて部屋のドアも開けた。で、玄関もあけた。 
もう、好きなトコ行っていいからね、て声かけながら。

玄関あけたら昨日のネコがいた。塀の上に行儀よく座ってこっちを見降ろしてるんだ。 
だから、ネコに言った。よろしく、って。 
ネコは小さくうにゃ、て鳴いてまたどこかに行ってしまった。 
それ以来ネコを全く見かけなくなった。 
でも、あの日より少し以前から見かけてなかったことに気付いた。 
ハルが死んで他の事が頭に入らなかったのかと思ってたけど、毎朝高い 
塀の上から見下ろされてたんだ。いつから見なくなったんだろうって思った。

調べようもないけどその日から1度も見ていない。多分もう生きていない。 
でもネコがハルを連れに来たとは思ってる。ハルが呼んだのかもしれない。 

怖くはないし、読む人にとって霊的要素はケージガリガリ引っ掻く音しかない。