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去年の夏に地元に戻ってきたが、某ネズミー国のすぐ近くに単身赴任で3年ほど住んでた時。 

住んでたのは1Kの家具家電付きマンスリーマンション。 
ネズミー国近くとはいえ快速も止まらない駅の周辺は俺の地元より寂れていてコンビニ以外ほぼシャッター街。 
夜にはアジア系の外国人とDQN以外出歩いていないような治安の街。 

仕事が終わると駅前のコンビニで必要な物を買い、そそくさと5分ほどの道程を歩いて帰る毎日だった。 

引っ越して一番最初に怖い思いをしたのは、放置自転車が蔦に絡め取られて金網と同化している駅前某所。 
自転車が絡まっているのは何日か目に気づいたが、特に気にしてなかった。 
その日も真っ暗な中その自転車の前を通り過ぎると、後ろで「チリリン♪」とベルの音がする。 
誰か通るのに邪魔だったかなと後ろを振り返りながら少し道の端に寄るが自転車どころか人も居ない。 
あれ?気のせいかとまた進み始めると、今度は「カシャーン」とスタンドを立てる(外す?)音がした。 
ビックリして振り返るがやはり誰もおらず、そこに放置自転車があるのを思い出して小走りで帰宅した。 

これは誰もいない時に限って何度か経験した。 
その自転車が今でもあるかどうかは分からない。

マンスリーマンションの中でも色々とあった。 
2階建ての木造ではあるものの、築2年ほどできれいな物件なんだけど隣の部屋からは日本語じゃない言葉が時々 
聞こえた。 
生活リズムが違うからだろう、直接会うことは結局なかったが、時々0時にお祈りを始めるのが怖かった。 
韓国語か中国語か1時間ほどかけてブツブツ・・・ 
だんだんと声が大きくなり、最後には「あ゛~~あ゛あ゛あ゛~~~」べちんべちん(床か壁を叩くような音) 
で終わる。 
声が大きくなると言ってもそこまで煩いわけでもなく、結局最後まで文句言えなかった。 
(布団で静かに本読んでると煩いが、TVつけてたら気にならないレベル) 

あの祈りの声聞いたらそういう気持ちも吹っ飛んだ。

寝床はロフトだったんだけど、最初の数日以降床に布団敷いて寝てた。 
ロフトに寝てるとテレビ見えないってのもあるんだけど、夜中にふと目を覚ますと、ロフトの縁辺りを真っ黒い 
ボサボサの髪の毛がゆっくりと行ったり来たりしてるが見えることがあったから。 
ロフトの縁は床から2mくらいの高さにあるんで、身長が+10cmくらいあるか、ふわふわ浮いてるんじゃなければ 
見えるはずがない。 

俺が目を覚まして固まったまま見てると、1分くらいで足元の台所へ向かう角を曲がって消えていく。 
玄関を開ける音はしないが、その後「カンッ、カンッ、カンッ・・・」と外階段を降りる音が聞こえるとそれから 
数日間は現れない。 
現れないのか俺が目を覚まさないだけなのかは分からないけど。 

ロフトじゃなく床に寝るようになってからは見ることはなくなった。

前日半徹夜だった事もあり、その日は始発で帰宅して1日休むことになって朝から寝てた。 
昼11時ころに昼飯を食おうと部屋を出ると、玄関のドアの外側に黄色い紙が貼ってあって赤いペン(筆?)で 
「闇」だか「間」だか分からない模様が書いてあった。 
何かキョンシーとかの顔に貼って有りそうなやつ。 
うわぁと思ったが触るのも怖いので、飯食い終わったら管理会社に言おうと思い、そのまま出かける。 
階段を降りて家から少し離れると「カンカンカンカン」と家の外階段を登る音が聞こえた。 
何気なく振り向くと階段を登っていったおっさんが俺の部屋の例の貼り紙を急いで剥がしている。 
剥がし終えたその紙をどうするのかと見ていたら、隣の部屋のドアに貼り付けてまた戻っていった。 
去り際にちょっと目があったが無視された。 

食事を終えて帰宅し玄関で鍵をあけていると、隣の部屋のドアが急に10cmくらい開き、隙間から誰か覗いている。 
覗かれていたのは数秒で、すぐに「ガチャン」と音を立てて閉まったが怖かった。 
ちなみに先ほど家のドアから隣のドアへ張り替えられた黄色い紙は無くなっていた。 

その日の夜、隣の部屋からはまた例のお祈りが聞こえてきた。 
あの紙が何だったのか、あのおっさんが誰なのかは分からない。

ある日夜中に帰宅すると、ドアの横に設置されてる宅配ボックスから猫の鳴き声が聞こえる。 
いたずらでされたかと思い開けようとしたが、ダイヤル式の宅配ボックスなので全然開かない。 
30分以上ガチャガチャやってたが、その間に中から聞こえる声はだんだん小さくなって行き、最後には声が 
聞こえなくなった。 
夜中だけど業者に電話して開けてもらうしか無いと思い、賃貸の契約書を開くと、宅配ボックスの「非常用キー」 
ってのが出てきた。 
一度も使ったことがないので知らんかったが、これで開くらしい。 

すぐにキーを使って宅配ボックスを開くと、中に猫は居なかった。 
代わりに出てきたのは未だに燻ってる焼け焦げたボサボサの髪の毛の束。 
10cm位の長さで鉛筆くらいの太さにまとめられてた。 

とりあえず怖いので触らず、でも火事になっても困るのでコップ一杯の水で消火し、宅配ボックスをロックした。 
次の日に管理会社へ(猫の鳴き声の事は話さずに)連絡。 
週末に俺立ち会いのもと清掃してもらった。