TKL18063010_TP_V

私の実家は、川の真ん前にある。 
ある年の台風の被害が凄まじく、村に住んでいる男が一人氾濫した川に流されたそうだ。 

その男は祖父と祖母の知り合いで、実家から1kmぐらい上流に住んでいた。 
台風が過ぎ去ったその翌日、地元の消防と住民でその男を捜索したが、なんせ荒れ狂う濁流に流されたのだ、どこまで流されたのかも分からない。 
まだ水量が多かったのもあって、捜索は難航、捜索は次の日に持ち越された。

その日の夜、祖父と祖母は不思議なものを見たそうだ。 
用を足そうと外に出た祖父は、家の前から少し上流の方に、火の玉のような仄明るい小さな青色の炎が燃えているのを見た。 
祖父は慌てて祖母を起こしに行き、起こされて外に出た祖母も同じものを見たそうだ。 
その青い炎は風で流されることも消えることも無く、一晩中その場所で燃えていたそうだ。

夜が明けて捜索が再開されると案の定、青い炎が燃えていたその場所で、流された男の遺体が川べりの木の枝に引っかかった状態で発見されたらしい。 
そして遺体が発見されたその夜からは、青い炎を見たことは一度も無かったとのこと。 

祖父と祖母は不思議だったなあって笑っていましたが、まだ子供だった私は完全にビビってしまい、 
それから少しの間夜になると、家の前を流れる川を見ることが出来ませんでした。