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知り合いのツテで画像編集のバイトを紹介してもらった。 
photoshopを使った事があれば難しくない内容で、給料がやたら良かったので即決した。 

バイト初日、PCを一台あてがわれ、担当者から説明を受けた。 
予め聞いていた通り、切り抜きや色の調整がメインで作業的には楽。これはオイシいバイトだとホクホクしていた。 
担当者は「じゃあ、分からない事あったら聞きにきて。」と自分のデスクに座ってから、「あ、そういえば写ってたら消しといてね」と、両手首から先だけを垂らしてヒラヒラ動かした。 
あれ、「うらめしや」ポーズだよな。幽霊の事だよな。と考えてたら「大丈夫大丈夫、分かるから」とだけ言われた。 

まあ口答えしても仕方ないと思い、取りあえず作業を開始したが、本当にすぐ分かった。 
目が合うのだ。画像の中の暗がりに目だけが写っていた。 
たとえば電源の切れたPCのディスプレイ、たとえば顎が首に作る影の中、 
たとえばドレッサーの足下、そういったちょっとした黒い部分から、目だけがこちらを覗いていた。 
特別探そうとしなくても見られている感じがするし、やたら目が合うのですぐに見つかる。 
体感だが5~6枚に1枚くらいの割合でそういった写真が混ざっていた。 

消しといてね、と言われても・・・と最初は思ったが、周囲の色をピックアップして乗せれば簡単に消せた。 
しばらく作業するうちに写真からの視線にも慣れ、機械的に心霊写真を普通の写真に加工していると、なんと言ったらよいか、デジタル化していく社会の中で心霊写真という文化の終わりを感じた。 

後日、担当者と飲みに行った時に聞いたのだが、どうやら会社の場所が悪いらしい。 
塩を盛っておくと3日位で真っ黒になるとか。その話が一番怖かった。