KAZTP1050219_TP_V

一年前の夏に全くすることがなかった僕たちは心霊スポットに行く計画を立てていました。 
立てていたといっても、Dという男が怖いもの好きでどうしても行ってみたいというので、仕方なく行くことになった形です。 
メンバーは僕(仮にAとします)、友人のB、C、それに心霊スポットに行きたいと言い出したD、その彼女のE、そして僕と中学時代からの友人であるZの男5人と女1人で行きました。

Zはどのような状況でも落ち着いて、まさに敵なしという表現がぴったりの雰囲気を持っているので、幽霊が出ても、コイツがいるなら、と僕も参加することにしました。  
当日、夕方までカラオケに行って、8時頃にBの運転する車に乗って心霊スポットに向かいました。 
場所は東京都内から1時間ちょっとの場所にあってそれなりに有名だとDが言っていましたが、所詮ミーハーなのでネットで少し調べた程度で決めたのだと思います。 

Dの話によると、その場所は廃病院で、殺人事件があったとかなんとか言っていました。

目印になる廃村?ではないと思いますが、何件かの古びた家とも物置とも思える建物が立っている場所を通り過ぎると結構大きな屋敷のようなものが見えてきました。 
まず、屋敷を見たとき「病院じゃねーじゃねーか」と全員が口にしていました。 
そこは山の麓にあって、一番近いコンビニから30分は走ったと思います。 
ですが意外と道はしっかりと舗装されていて、車通りも全くないというわけでもありませんでしたが、その屋敷はその通りから少し脇道に入った場所にあって、あたりは真っ暗でした。  
屋敷は大きな3階建ての建物が二つ左右に立っていて、その真ん中を細い渡り廊下でつないだような形でした。

気になったのは屋敷の背後は山になっていて、大きな壁のようになっているのですがその壁に大きな洞窟のような穴があいていました。 
奥がどうなっているのか気になりましたが怖くて行く気にはなれませんでした。 
しかし、全員初めての心霊スポットだったので怖がりながらもテンションは上がっていたと感じます。 
雰囲気を楽しみ、いよいよ屋敷に入ろうかと思ったとき、ここまで車を運転してきたBがどうしても入りたくないと駄々をこね始めました。 
なんでも、建物の二回から何かが見ていたというのです。

ほかの人間に散々煽られても、本気で怖がっているようで仕方なくBは車で待機ということになり、一人で車を使って逃げ出されても困るとのZの発言により、Cも車で待機ということになりました。 
Dは「怖いっていうよりワクワクするな」などと言っていましたが彼女がいる手前、弱気な発言を避けていたのではないかと思います。 
入口に向かう途中、Zが「もし俺なら一人で車に残るぐらいならみんなの一緒に建物に入るけどな。一人でいるときその何かが建物から出てきて車に向かってくるほうが怖くない?」と最悪の発言をしていましたが、確かにBは幽霊というよりはこの建物を極端に怖がっていたような気がします。