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二日前、サークルの先輩から座談会に来ないか? 
というお誘いがあった。まあ僕も断れずいられないので 
参加することにした。会場は先輩の家で参加者は夏休みを満喫している 
アニメや映画大好きな中高生やオタクばかりだった。 

座談会が始まり、中高生たちは 
「ア○ザーの新作でたね」 
「でもハードカバーだから高いよ」 
そこで先輩 
「フフフ、Aちゃんは小説を結構読むから、ア○ザーの新作を 
 買っているかもよ」 
だが僕は 
「いやいや、僕は我孫子の新作とディック二冊買ったばっかりなんですから」 
「でもAちゃん、綾○行人の殺人鬼シリーズや囁きシリーズとか読んでいるじゃないの?」 
「ア○ザーと館シリーズは読んでいませんよ」 
中高生の一人が 
「Aさんは西尾やラノベは読まないんですか?」 
そこで先輩は僕の代わりに解説して 
「こいつ、太田や我孫子、有栖川、石持とか新本格推理が好きなのよ、あと、海外のSFホラーとか 
 あっ大藪春彦を全部読破したといっていたね。今は寿行を集めているね。よし、私がとっておきの 
 怖い話をしてあげよう」 
「どんな話なんですか?」 
「フフフ、綾○行人のア○ザーにまつわる話なのだよ。実はあれ曰くつきのリレー小説なんだけどね」 
先輩は重い口を開いて、事実を話した。

これはかれこれ50年前、つまり昭和30年代後半になる。推理小説家、横溝正史が金田一と違う 
新しいシリーズを立ち上げるため、ア○ザーを書いたのだ。 

しかし、編集者に見せると「これは怖すぎますよ先生」と編集者は怖がってア○ザーを 
拒否した。横溝は高木彬光に作品を譲ったものの、高木も同じ末路をたどり 
封印したという。高木と横溝がが編集者に問い詰めると 
「この安保の時代に、日本の小説でスプラッターがこれだけ多く描写されていることがヤバい」 
「こんなホラー小説は見たことがない。あり得ない。何が起こっているのか…正直怖い」 
と編集者は言ったという。 

しかし、この怖すぎるホラー小説の噂を聞きつけた、小松左京が高木に代わり 
執筆したが、小松は書いているうちに背筋が凍るほど恐怖に見舞われ、書くのを 
中断したという。 

「そのお詫びとして牛の首を書いたんですね」 
「フフフ、Aちゃん鋭いね。それは筒井もやっているのよ」 

筒井康隆に渡っても同じことが起こり、バトンを森村誠一、大藪春彦、眉村卓、西村寿行 
赤川次郎、北方謙三、内田康夫、佐々木譲に譲ったがあまりの怖さに編集者が 
「こんな怪談小説出せるわけがない」と人気利して納品拒否したという。 

また、大藪や寿行の場合、あまりの怖さを耐えて、出版にこぎつけたものの、寺の住職 
または霊能力者から「なんというものを出版するんだ」 
霊能力者や聖職者は口を揃えたかのように「2度と出版するべきではない」と。 

「へー、たしかに50年前と現代の価値観が違いますからね」 
「Aちゃん違うんだよ、本当に怖いのはそれじゃないんだ」 
作家たちがア○ザーを執筆しているとき、突然電気が消えたり、クーラーをかけていない 
のに、-5どのぐらいの寒さーつまり冷凍庫並のーを感じたり、毎晩毎晩、夢に 
うなされたりしたという。

また、深夜、窓から誰かが覗いているような視線を感じていたという。 
または、トイレや布団で寝ているとき、背後から人の気配がしたり、枕元で 
数人の男が立って、ジーッと監視ているような感覚を覚えたという。 

先輩は話を終えると 
「ホラー小説を書いていると霊にも取りつかれることがあるんだよね」 
「でも先輩、綾○行人がア○ザーを書いたとき、オカルト現象は起らなかったんですか?」 
先輩は不敵な笑みを見せて 
「ハハハッ綾○行人は殺○鬼シリーズやフ○ークスといった短編書いて怪奇現象について 
 免疫が出来ているから、楽々でかけたよ。もっともなぜか編集者も霊能力者たちも 
 なぜか抗議せずイケイケで出版出来たのは奇跡だね。やはりミステリーの神は 
 綾○を味方しているようだね」