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鉄の門が勢いよく開く音と軽快な足音がした。おれは全力で家の方に向かった。 

しばらく走って住宅街にたどり着いた。その公園の角を曲がればもうすぐ家だ。後ろを振り返っても誰もいない。 
おれは息を整えながらも早足で歩いた。 

「わるいひとみっけ」 

楽しそうな声とともに、公園の入り口から男の子が駆け足で出てきた。

おれは逃げた。もう気味が悪くてひたすら走った。 

いつの間にか商店街のアーケードにはいった。 
左右にはシャッターが閉まった店が並ぶ。 

もう限界で息ができなくなって立ち止まった。 

「わるいひとつかまえた」 

小さな冷たい手がおれの手首を掴んだ。 

「しけいだね」 

おれはもう疲労と恐怖で混乱してた。暴れたけど男の子ははなしてくれない。 

「はなせこら!」 

「だめ」 

男の子の手の力が強まった。 
視界に薄汚いホームレスが寝ているのが目に入った。 

「おれじゃない!悪いやつあいつ!」 

ホームレスを指差して叫んだ。 

男の子はそっちをじっと見て、しばらくして手を緩めた。 

「そっか。じゃあつかまえてしけいにしてくる」 

男の子が駆け足でホームレスの方へいった。 
おれはまた全力で逃げて家にたどり着いた。 

気がつくと朝になっていて、おれは家の玄関にいた。 
気を失っていたみたいだ。 

太陽の光にホッとしながら右腕を見ると、くっきりと小さな手形が残っていた。 

その日のニュースでホームレスの変死体が見つかったと報道があった。
首の骨が折られていたとのことだ。 

あれがいったい何だったのかは分からない。