てるおくんの家の近くを通りがかると、
窓がガラガラとあく音がした。
てるおくんがいつも窓から手をふるその窓には
誰もいなかった。
ただの換気か何かに開けたのかもしれない、
しかし、俺は何かを言い知れぬ違和感を覚えて
走る足を止めてしまった。
窓から家の中へ入って行く黒い気配。
目に見える具体的な何かじゃなく、
なんだか嫌な気配のもの。
すごい勢いでそれが家の中へ入って行く、
と思ったら今度は逆流するかの様にそれが窓から
吐き出されて行く。
窓からてるおくんがみをのりだし、シッシッ!
とやっている!
それに追われる様に、嫌な気配は消えて行った。
俺は急にあたりの暗さに恐怖を覚えて逃げる様に家に帰った。
それからはジョギングのコースも変え、大学にいくに当たって田舎を離れた。
そして、大人になって帰郷したとき、飲み会でたまたま会ったナオキから聞いたんだが、
あのあたりは高速道路が出来ることになり
その辺の地域は再開発の手が入った。
その際遺跡みたいなのが出てきて、調査されたらしい。
てるおくんの家にちょうど祭壇?神社?の様なものがあり
ナオキの家の方には鳥居みたいなものがあった様だと
教えてくれた。実際実家にある地報にものっていた。
てるおくんの窓からの動きは、なにか神がかり的というか、霊的な何かだったのだろうか?
あのシッシの動きも去る事ながら、
おいでおいでにも、何か意味があったのだろうか?
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