NAT88_ajisaitohokora_TP_V

テスト期間の終わり頃、いつもよりジョギングの時間が遅くなり、暗くなりかけた道を走った。 
てるおくんの家の近くを通りがかると、 
窓がガラガラとあく音がした。
てるおくんがいつも窓から手をふるその窓には 
誰もいなかった。 

ただの換気か何かに開けたのかもしれない、 
しかし、俺は何かを言い知れぬ違和感を覚えて 
走る足を止めてしまった。 

窓から家の中へ入って行く黒い気配。 
目に見える具体的な何かじゃなく、 
なんだか嫌な気配のもの。 

すごい勢いでそれが家の中へ入って行く、 
と思ったら今度は逆流するかの様にそれが窓から 
吐き出されて行く。 
窓からてるおくんがみをのりだし、シッシッ! 
とやっている! 
それに追われる様に、嫌な気配は消えて行った。 

俺は急にあたりの暗さに恐怖を覚えて逃げる様に家に帰った。 

それからはジョギングのコースも変え、大学にいくに当たって田舎を離れた。 
そして、大人になって帰郷したとき、飲み会でたまたま会ったナオキから聞いたんだが、 
あのあたりは高速道路が出来ることになり 
その辺の地域は再開発の手が入った。 

その際遺跡みたいなのが出てきて、調査されたらしい。 
てるおくんの家にちょうど祭壇?神社?の様なものがあり 
ナオキの家の方には鳥居みたいなものがあった様だと 
教えてくれた。実際実家にある地報にものっていた。 

てるおくんの窓からの動きは、なにか神がかり的というか、霊的な何かだったのだろうか? 
あのシッシの動きも去る事ながら、 
おいでおいでにも、何か意味があったのだろうか?