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まだ小学校に上がる前のちっさい子供の頃、自分はずい分やんちゃな子供だったそうだ。 
そんなクソガキの俺に言うことを聞かせるために新潟出身の親父はよくかんかんかかしの話をした。 
「かーんかーんかかし わーるい子はいねーか?ねーない子はいねーか?」そう言いながら、
親の言うことを聞かない子供をとって食うお化けで、俺も言うことを聞かないとこのかんかんかかしにとって食われるぞ!ということだ。

当時の俺はこのかんかんかかしが死ぬほど怖くて、親にかんかんかかしの話をされると泣きながらあやまっていた。 
何度も夢に見たし、5時に鳴る夕焼け小焼けのチャイムが例の「かーんかーんかかし わーるい子はいねーか? 
ねーない子はいねーか?」に聞こえる事が有るほどだった。 
ちなみに夢に出てくるかんかんかかしは、藁のムシロでまかれた片足しかない男が目を瞑ったまま両手をだらんと 
垂らし、でんでん太鼓のように両手を振りながらけんけんをで逃げる自分を追い回してくるというものだった。 
口も動かさないのに例のセリフをやたら高い声でずーっと繰り返すのが怖かった、というより今でもたまにこの夢を観る。 

時がたって大学3回生の頃、仲良くなったサークルの後輩の女の子の家にお泊りしに行くことになった。 
その子の家で風呂入って飯を食ってお酒飲んで眠った。 
夜中にトイレに起きると隣に居るはずの後輩の子が居ない、同じタイミングでトイレにでも起きたかなーとそのままトイレ 
に立つと、案の定トイレの前に後輩の子はいた。 

「お前もトイレか?今出たとこ?」俺がそう声をかけても反応しない、なにやら様子がおかしい。 
俺はトイレに行きたかったし、なんか寝ぼけているのだろうと判断して彼女の横をすり抜けてトイレ入ろうとした。 
そのとき、彼女の口から子供の頃聞きなれた「かーんかーんかかし わーるい子はいねーか?ねーない子はいねーか?」 
という声が聞こえた。

かんかんかかしの話は彼女に一度も話したことは無い、絶対にありえない筈のこの状況に一瞬で俺はびびってしまった。 
しかも彼女は夢で見たあの男と同じように両手をだらんと垂らし、片足でジャンプして近づいてくる。 
俺は子供の時の恐怖が甦り、うずくまって泣きながら「許して下さい、許して下さい」と繰り返していた。 
そんな俺の周りを壁にぶつかりながら彼女は「かーんかーんかかし わーるい子はいねーか?」と繰り返しながら飛び跳ねている。 
飛ぶ時に手が俺の体中に当たってかなり痛い。 

かなり長い時間そうしていたと思う、気がつくとカーテンの隙間からは外の光が差し込んでいて彼女はふとんの中に戻っていた。 
俺は、何とか気を取り直し、座り込んで漏らしていた後を始末し、履いていたものを密かにシャワーを浴びながら洗って彼女が 
起きて来るのを待った。 

数時間後、彼女は何事も無かったかのように起きて来た、昨夜の事を聞いても
何も覚えていないらしい。 
ただ両腕が昨晩壁にぶつけたせいで痣だらけだった。 

これ以降、一緒に寝た女の子の何人かに一人の割合で、この後輩の子のように夢遊病のようにかんかんかかしになって飛び跳ねる子が居た。 

その度に俺は死ぬほど怖い思いをしている。