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ある男性がヨットを借りて、バルト海の沿岸部を一人で 
クルージングしている時のこと。 
携帯電話に、差出人不明のメールが届いた。 
それは、英語で書かれていたが、 
ローマ字読みの日本語らしい単語が含まれていた。 

「私、乙女ララ。今、あなたから140km離れた海上にいるの」 

これを見て彼は、リカちゃん電話やメリーさんの電話などの、 
都市伝説を模倣したイタズラだと思った。 

それからだいたい30分おきに、 
「私、乙女ララ。今、あなたから135km離れた海上にいるの」 
「私、乙女ララ。今、あなたから130km離れた海上にいるの」 
「私、乙女ララ。今、あなたから125km離れた海上にいるの」 
とメッセージが届いた。 
都市伝説と似た展開だけど、それは、 
100km以上離れた場所からで、ゆっくり近づいて来るので、 
本当に恐ろしい存在が来るとしても、すぐ離れれば、どうということはない。 
そして、あと少しで侵入禁止海域に着くので、 
そのすぐ手前まで行ったら引き返そうと、彼は思った。

しかし、それからまた30分ぐらいたって、予想外のことが起こった。 

「私、乙女ララ。今、あなたから120km離れた海上。 
 あと3分であなたのところに着くの        」 

彼は、意味がよくわからないし、話の順序がおかしいだろうと思った。 
120kmを3分は無理がある。 
彼は、その意味を知るため、次のメールを待つことにした。 
すると、すぐにメールが来た。 
しかしそのメールは、旅行で別行動をしている友だちからのものであり、 
そこにはこう書いてあった。 

「沿岸部で、NATOが軍事演習を行なっているけど、 
 OtoMelara社のロケット補助推進付き誘導砲弾の、発射テストを行うらしい。 
 万が一を考えて、侵入禁止海域からだいぶ離れた方がいいと思う     」