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その晩いつも通り風呂に入ってくつろいでた俺 
髪を洗おうとシャンプーを頭の上で泡立ててた時だった 
頭の上で増えていく泡に違和感を感じた。明らかに手の平の上にとったシャンプーの量に比べて泡立ちすぎなのだ 
よく泡立つシャンプーにでも変えたのかなと俺が思ってるうちに泡は異常な速度で増えていく 
異常を認識し目をあけた瞬間、風呂中に泡立った泡が俺の顔を覆いつくしてしまった 

いざ泡に囲まれてみるが分かるが圧迫感が凄く息が出来なくなってしまうのだ 
泡一面の中なんとかドアに手を掛けようとするも目がやられてしまい中々手が届かない 
やっとのことで手が届いたものの今度はドアが動かない。家の風呂のドアに鍵などついてないというのに 
完全に手詰まりになり命の危険を感じ始めた俺は必死に親父やお袋のことを叫び始めた 
そして足をばたつかせなんとか自力でもドアを開けようと試みる 

その時誰かが俺の脚を掴みドアとは反対側の方向へ引っ張り始めた。冷たい手だ、間違いなく風呂の中に誰か他にいる 
家の風呂は俺がギリギリ横になれるくらいの広さしかないのだが、その時は長い間足を掴まれ引きずられた記憶がある 
その手の主は俺をどこに連れて行こうとしてたのか 


数秒後叫び声を聞いて駆けつけた親父によって失神されてる俺が救出された 
ただ現場を見たはずの親父によれば大量の泡なんて全くなかったし、勿論風呂の中には誰もいなかった。ただ俺がそこに失神してただけだということだった

約1時間後、意識を取り戻した俺はこれは間違いなくあの温泉の祟りだと確信した 
すぐにAとBに連絡を取りAとは連絡がついたが、B宅に掛けるととんでもないことになっていた 
電話に出たBの妹が言うにはBが風呂で滑って転び頭を強く打ち、ドアのヘリの部分に打ちつけ意識がないのだと 
すぐに2人で病院に行き一晩中病院で過ごしたものの結局Bの意識は戻らなかった 

次の日の夜Bは死んだ。昼間には俺たちの問いかけに反応するまで回復したのだが夜になり容態が急変、そのまま亡くなった 
Aに俺の経験したことと伝えこれは間違いなく祟りだろうと伝えた。Aは昨日の晩風呂に入る前に俺から電話が掛かってきて助かってたが祟りだろうという認識は一致した 
しかもAはBの妹からとんでもないことを聞いていた。Bはあの温泉に行って足湯につかった時、何者かに足を掴まれていたという。 
Bは俺らを不安に思わせないよう黙っていたのだろうか 
Aと俺は強い責任を感じた。タブーではなくなっているというデマを教えてしまったA、そもそも最初に行こうと言い出した俺 
結局それで一番関係のないBを巻き込み死なせてしまったのだ 


Bの家族にこのことを伝えたらどんな顔をするだろう、Aと俺は然るべき時が来るまで黙っていようということで一致した 
しかしBの妹が誰かに吹聴したのだろうか、Bが例の温泉の祟りで死んだということは田舎のこの町に噂としてあっという間に広がっていった 
それは勿論あの日俺が風呂で失神していたのを救出した俺の両親に耳にも入ることになった 
しつこく問い詰められた俺はついにあの日3人で例の温泉に行ったことを白状することになった