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さらに数十分後にはそのうごめくものの細部が有る程度分かるようにまでなっていた、なんと言うかぼうふら見たいな動きをする虫が 
密集してかろうじて人型の形をしているような感じだった。


もうこの頃には半ばパニック状態で、もうその正体を確認しようと視線を向けることもしなくなっていた、というよりもなぜか視線を向け 
ることも逆にそらすことも出来なくなっていた。 

そのうごめくものは、どんどん視界の中央に近づいて来ていて、さらに確実に距離も縮めていルように感じられた。 
俺は恐怖のあまり殆ど全速力に近い速度でペダルを廻し、
そのうごめくものから逃げようと必死だった。 

しかし、突然ものすごい衝撃を感じて俺は意識を失った。 

後で聞いた話によると俺は全速力で走りながら対向車線にはみ出して向こうから走ってくる車にぶつかったらしい。 
目を覚ましたのは病院のベッドの上だった、しかしそのベッドの周りををあのうごめくものが何体か取り囲んでいた。 
俺は恐怖のあまり発狂するかと思った、声の限りの絶叫をあげていた。 

すると、そのうごめくもの達は俺に何かを話しかけながら体を押さえつけてきた。 
おれはまたそのまま気を失った。 

結論から言うと、俺はあの事故の後遺症として人間の姿かたちをあのうごめくものとして認識してしまうようになってしまった。 
事故から目を覚ましてからしばらくの間は詳しくは話したくも無いが、恐怖と嫌悪感から常に混乱状態だった。 
時間がたつにつれて、うごめくぼうふらの様なものの密集具合が薄れてきて人の顔も薄っすら透けて見えるようになってきた。 

それにつれて有る程度慣れてきたが今では仕事も辞めて障碍者手当てを
貰って引きこもって暮らしている。 

しかし、あそこで事故にあわずにあのうごめくものを完全に視界に入れてしまっていたら、完全にあれの明瞭な姿を見ていたら俺はどうなっていたのだろうか。