TSU_NOROUYO_TP_V

今から何年前になるかな 
当時某商社に務めていた俺 
その時お世話になった先輩にz先輩がいた 

冷たいというか、実力主義で厳しい職場だったが、 
新入りだった俺に先輩はあの会社で必要なことを全部叩き込んでくれた 
おかげで俺はいきなり首を切られる無く、なんとかやっていけた 

穏やかな先輩で、俺が幾ら礼をいっても足りないと頭を下げても 
はにかんだように笑ってた 

周りにも何とか認められ年の終わり 
大きな仕事も終わったのでみんなで打ち上げに行った 
重圧から解放されて、みんないつもより盛り上がっていたんだ 
五月蠅い部長もおちゃらけちゃったりして、酒も進んだ 
そんな中珍しく酔っぱらったz先輩が「彼女が出来た」と告白した 

みんあ驚いたね 今でいう草食系みたいな人だったし、 
女性陣なんて悲鳴あげてたよ 顔立ちもよかったし人気だったから 
でも、気になることもあった 
女性陣が狙いつつも手を出さなかったのにも理由がある 
仕事が滅茶苦茶忙しいのだ 残業して、家でもやらないと間に合わない 
休日もあるにはあるが、殆ど平日の埋め合わせで飛ぶ

金払いはいいし、ブラックではないと思うが、とにかく能力が求められる所だった 
頭がいいのは当たり前、要領がよくてミスなんてもってのほか 
おかげでみんな休日返上で神経擦り減らしてたからな 
何処で知り合ったんだとみんなで聞いたがどうにも要領を得ない 
先月道端でとかどういう出会いだ? 
その上もう同棲してるということも発覚した 

変な話だと思ったが恩のある先輩のめでたい話だ 嬉しかった 
みんなで盛り上がった後、酔った先輩は2次回は抜けるというので送った 
ベロンベロンでこんな浮かれた先輩を見るのは初めてだった 
マンションに着くと部屋の電気がついている どうやら起きてるようだ 
「部屋まで送りますよ」といったが先輩は大丈夫だと頑なに拒んだ 

千鳥足で肩組んでたのに転ぶような人を置いていけないといったがどうにも折れない  
かなり押し問答した末喧嘩別れみたいに帰った「どうなってもしりませんよ」と 
次の日上機嫌な先輩から謝られた この日から先輩はやけに明るくなった 
どうにも彼女と上手くいってるらしい どんな人か話さないが

2,3ヶ月こんな感じだったが分かったのは髪が綺麗くらいだった 
正直、少し気味が悪かった 先輩の中の彼女の比率がどんどん膨らむようで 
ある日先輩は唐突に仕事を休んだ 家にかけても出ない 
俺が家んを訪ねたが明りも無でチャイムを鳴らしても反応が無い 
次の日先輩は現れた 彼女が亡くなったという 
上司も困惑して休みの申請とかとろうとしたが「もういいんです」としか言わなかった

色々おかしいんだが立ち入らせない妙な迫力があるんだよ 
それに、先輩がいないと仕事にかなりの支障が出るのは確かなのでいつの間にか流されていった 
気が付くと宙を見つめて口をあけてた 仕事はこなすので文句はでなかったが 
この時から首をかくことが増えた 
暫くたつと先輩はどんどんやつれてきた 身なりは綺麗なんだけどな 

もう無理だ 
もう見てられず飲み行ったら駅前で婆に怒鳴られた 
「かみをすてなくばしめられる」上着から巾着に入った毛が 
背中ぶっ叩かれて吐いてた 見間違え出なければ黒い塊がが混じっていた 
落ち着いたら髪をかき集めて俺をマンションに連れ込もうとして逃げた 
暫く休んで部署を変えたそうだ 
辞める前に少し見たがもう朗らかに笑っていた先輩の面影はなかった