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この間会社の帰りに酒飲んでタッチの差で終電を逃してしまった 
しょうがないから駅前の講演のベンチに座って 
サウナ行こうかネトカフェにしようか考えてた 

金がかかりすぎるんでタクシーで帰るという選択肢はなかったな 
自販で買った缶コーヒーを捨てようとして金属のゴミ箱に近寄った 

上が三角屋根の形をしてPUSHって書いたとこを押してゴミ入れるやつ 
それが燃えるゴミのが一つと燃えないゴミのが二つで計三つ並んでる 
んで一番近くのに缶を押し込もうとしたら 
フタが開いたときに街灯のあかりで中がちらっと見えた 
そしたらゴミ箱の口のあたりまで 
ねちょーっとした内臓のようなものが詰まって光ってた 

オレが「えーっ!」と言って中をもう一度確認しようとした 
そんときは怖いものだと思わなかったんだよ 
そしたらいつの間かそばに来てたホームレスのようなおっさんに袖口をひかれた 
「こいつ何だよ」と思ったんだけど 
おっさんはすげえ力で引っ張るんでベンチのほうまで引きずられてしまった 
オレがやっと体制を立て直しておっさんをにらみつけると 
おっさんは「アンチャン、危ねえよ 近づいちゃダメだ」 
そう言って花壇のふちにあったけっこう大きいレンガを拾ってそのゴミ箱にぶつけた 

金属だからガランと大きい音がすると思ったら 
人間の腹にぶつけたようなデドッという音でそこがへっこんだ 
んでそのゴミ箱は急に溶けたように平べったくなって 
ずるずるっと後ろの繁みの中に入っていった 
まるでスライムみたいな感じ 
オレは起こるのも忘れておっさんに「今のあれ何だ?!」と聞くと 
おっさんはしばらく妙な顔をしていたが 

「あれ見えるやつと見えねやつがいるんだ 危ねえもんだよ 
仲間にも手を食われたやつやら姿を消しちまったやつもいる 
姿消したのはあれのせいじゃないかもしんねけどな」って言った 
オレはそれ聞いてすんげえ怖くなって 
早々にそこを立ち去った 
おっさんに礼を言うのも忘れた