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ほっとして、そのままテレビを見続けようとしたのですが、どうしても 
さっきのことが気になって、よせばいいのに、玄関から外をのぞいてみることにしました。 

念の為ロックバーはかけたまんまで、ほんの隙間からのぞいてみることにしたのです。 

すると、家の前の道路にトラックが走っていました。 
軽トラではなくて、いわゆる引っ越しに使うような、中が空洞になっている 
トラックで、本当なら荷物を入れて、後ろにカバーかなんかをかけて使うはずなのに 
そのトラックの後部は全開で、中の様子が見れるようになっていました。 

中には、大きな壺が3つ積んであって、それを、さっきの初老の女が押さえていました。 
トラックは、走っているというよりは、僕のアパートの前を、規則的に旋回していました。 

僕がドアを開けて、車は左側に2Mくらい走るのですが、今度はバックで円を描くように 
戻ってきて、再度2Mぐらい進むのです。 

人間の目の形、アーモンド形というのでしょうか。 
左から弧を描くように前に進んで、今度は右に弧を描くようにバックしてくるのです。 
まるで、中の壺を僕に見せつけるようにぐるぐる回っているのです。 

何よりも怖かったのは、壺を抑えている喪服の女は、僕の家のドアをにらみ続けていることでした。 

壺にはそれぞれ布で蓋がしてありましたが、僕にはそれが何か分かっていました。 

僕の田舎では、いまだに土葬の習慣があり、その壺に遺体を入れて住民でかついで 
墓まで運ぶのです。 


急いでドアを閉めると、一目散に布団に潜り震えていました。 


気付くと朝でした。 
きっとあれは夢なんだと思いこもうとして、今日に至りますが 
もしかしたら、墓参りをしなかった僕へのお叱りだったのかな、と思ってます。