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当時母親が逃げて父親と暮らしていたんだけど 
これがどうしようもない男で口ばかりのダメ人間だった 

その頃親子揃っての居候生活から抜け出そうって事で 
坂道の半ばにある木造の古いアパートに下見に行った

思えば何でも自分勝手に決める父親が当時高校生だった俺を 
物件の下見に連れて行くなんて変だった気がする 

その部屋は入った途端に線香臭かった 
その臭いだけで怪しいと思いながら奥に入ると 
部屋のど真ん中で線香を焚いていた 

その上を見上げると天井に大きな穴と 
その真ん中を通る梁が見えた

梁をよく見ると荷造りに使うようなビニールヒモのカスが 
いくつか垂れたままになっていた 

もうこれだけでビニールヒモで吊ったものが想像付いたけど 
あえて案内した不動産業者に聞いたら 
「前の住人さんがインテリアをぶら下げてたみたいなんですけど跡が残っちゃったみたいですねー」 
どう見ても前の住人さんがインテリアになってたように見えますが? 

こんな部屋なのに結局住む事に 
きっと格安だったんだろうと思う

住み始めてから夕暮れの薄暗い時間になると時々その部屋にある窓の外で 
頬がこけて目の下にクマがある薄気味悪い印象の男が 
通り過ぎたり窓からこちらを見るようになった 

ちなみにこの窓、アパートの裏手に面していてそこはアパートを囲うコンクリ塀際の 
どこにも繋がっていない人がギリギリ通れる程度の隙間 
一度様子見に通ってみたら大きな石がたくさん転がってて好んで通りたい場所ではなかった