太郎は口から唾を飛ばしながらずっとしゃべりまくっていたが、そのうち
「ヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョア
ヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョア」
と、変な笑い声を上げだした。
「ヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアひねヒョアヒョアひね
ヒョアヒョアひねヒョアヒョアヒョアひねヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョア」
気持ち悪かった。三角座りをしたまま、顔だけこちらに向けて笑っている太郎は気が触れたようにしか見えなかった。
その時、花子と二郎がいくらなんでも遅すぎることに気がついた。太郎からも離れたかったので、俺は小屋に向かった。
「そこにおれよ!二人みてくるから!」
そう声をかけると太郎は
「もう 遅いでェ 」
と言って笑った。
その顔が気持ち悪くて吐き気がしたが、無視して中に入った。そこは、真っ暗で変な匂いがした。
なにかこげたような、腐ったような匂い。さらに吐き気がしたが中を進むと、突き当たりの部屋から
「ヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョア」
と、変な笑い声がした。
躊躇いながら中にはいると、そこには、床に座り込んでいる花子と二郎がいた
「ヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョアヒョア
ヒョアヒョアヒョアヒョアヒョア」
「ヒョアヒョアヒョアヒョアひぬひぬひぬひぬヒョアヒョアヒョアヒョア」
ふたりとも、太郎と同じ笑いかたをしていた。気持ち悪くてしかたなかった。
とりあえず誰か呼んでこなきゃ、俺は振り返った。そしたら、目の前に
白目が浮かんでいた。
失明した人のような、黒目に白い膜がはったような、白目。二つの白目だけが、ぽかんと浮かんでた。
意味のわからん悲鳴を上げて、俺は壁に後ずさった。するとなんだか、壁がネチャネチャしてた。さわってみると、壁一面がネチャネチャしてる。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!すぐに逃げ出したくてしかたなかったが、白目は微動だにしないし、動いたら追いかけてきそうで怖い。
白目はじっとこちらを見てた。呪い殺されるんか俺、と思った。目をこれ以上合わせたくなくて、顔を右に反らした。そしたら
「やケ 遅いて ゆうた
やんかァ 」
窓から顔を半分だけ出した太郎がいた。
太郎の両目は、浮かんでる白目と同じになっていた。
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