自室で、北側に足を向けて眠っていたんだが、夜中に急にはっきりと目が覚めた。
なぜだか分からないが、部屋の北東の隅、天井と壁の境目あたりが妙に気になって、
そこを凝視していたら、室内なのに、やけに遠くの方に女性が立っているのが見えた。
女性はこちらに背を向けていて、腰まである黒髪に、赤いワンピースを着ている。
意識ははっきりしていたが、目覚めたばかりということもあり、俺はそれを見続けていた。
すると、女性はゆっくりと振り返り、口が裂けるほどにニヤァ・・・と笑った。
その瞬間に体の自由が利かなくなって、自分の周りにものすごく嫌な気配がした。
あまりの恐怖で、全身に嫌な汗をかきながら必死で目を瞑り、気がついたときには朝だった。
その朝、その体験を兄に話したところ、俺がその体験をした日の前日に、同じような体験をしたという。
兄も俺と同じく北側に足を向けて寝ており、夜中に目が覚め、部屋の北東の隅を凝視していると、
女性の後姿(風貌は同じだが、ワンピースは黒だったらしい)。それがゆっくりと振り返り、
その女性の顔が、一瞬で息がかかるほどの目の前までドンッ!と迫り、口が裂けるほどに
ニヤァ・・・と笑った後、金縛りに遭ったとのこと。
俺と兄はお互いに知りえなかったことを同じ様な時に体験したことに恐怖したが、
それ以降、特に何も起こっていない。
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だとしたら時間経過と逆行してるのが不思議。
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