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こんばんは。 
僕はある高校の2年生の、細田といいます。 
突然だけど君達は学校のトイレってどう思う? 
最近は時代が変わって綺麗なトイレも増えてきたかもしれないけど、 
基本的には学校のトイレは暗くて、臭くて、怖くって……


休み時間にみんながワイワイと使っている時ならいいんだけど、 
うっかり放課後に一人で入ってしまったりなんかすると、誰もいないとわかっているのについ後ろを振り返ってしまったり…… 
ひんやりとした空気が足元から背筋まで駆け上って、自分の鼓動が妙に速く聞こえたり…… 
ぴちゃんと水道の水が滴る音一つでも飛び上がってしまったりする。 
……そんな経験、君達にはないかな? 
僕が今日話したいのは、そんな静かなトイレの話さ。

夏休みに入ってすぐの事だ。 
僕の学校の図書室は夏休みでも無料開放していてね。 
休みに入る前に続きものの本を借りていた僕は続きを求めて学校に行ったんだ。 
グラウンドでは野球部が活動する活発な声や景気の良いバッティングの音が聞こえていた。 
夏の空には、どうしてあんなに映えるんだろうね? 
あのカキィン、っていう音はさ。 
気分の良い時は爽やかに感じられるんだけど、僕は人より少し暑がりでね。 
体そのものがとけているんじゃないかと錯覚するような暑い日差しの中、あの甲高い音は妙に鼓膜の奥にまで響いてさ。 
まるでその音を敬遠するように校内へと逃げ込んだよ。

入った瞬間のヒヤリとした空気がとても気持ち良かった。 
クーラーの無い時代の人たちは一体どうやって夏を生き延びていたんだろう。 
大げさだけどそんな気分さ。 
止まらない額や首筋の汗を手のひらで拭いながら、僕はまっすぐに図書室を目指した。 
折角無料開放されているんだ、そこそこ賑わっているんじゃないかと思っていたんだけど、案外図書室は静かでね。 
数人が勉強をしたり本を読んでいる程度だった。 
だからかな、図書室はより一層涼しく感じられた。