PKIMGL0366_TP_V

で、その否定派の俺が心霊現象っぽいことで相談の電話をしてきたのだから、
Aはもう勝ち誇ったようだった。 
だがAは真剣に対応してくれた。 
「な、解っただろ俺の普段言っている事が正しかったって。」 
別にこの時、俺はまだ霊の存在を認めてなかったが、弱っていたので黙ってAの言う事に耳を傾けた。 
Aは言う「広島の##市に俺の世話になってた○○寺があるから(Aは広島出身)、住職に会って助けてもらえ。 
お前が行く事は連絡しておくから。絶対に行けよ。」 


幽霊の仕業とは信じたくなかった俺は、いきなり寺に行くのはちょっと抵抗があった。が、正直有難かった。 
早速、広島の教えられた寺に向かった。高速飛ばして2時間程度、迷うことなく到着できた。 
車を駐車場に止め、寺に向かうと門の前で住職と会うことができた。 
「あぁ、△△(俺)さんかいね。A君から電話あったわ。さぁさぁ中へどうぞ。」 
とても柔和で人のいいおじいさん住職。聡明なオーラが漂う人だった。 

ことの次第を全部住職に話した。住職はウンウンと頷きながら聞いてくれて、全部聞き終えるとしばらく腕組して。 
「まぁ、少なくとも良い霊ではないわなぁ。今晩泊まってもらって経あげてやれればいいんじゃが、生憎これから用事があっての。」 
少し間を置いて住職は続ける。 
「だが、心配いらん。△△さんとこに出てくるのはそんなに強い奴じゃない。心を強く持つこと。怖がらないこと。毅然と立ち向かう事が大事。」 
と言ってくれた。そして、寝る時は布団の四隅に盛り塩をするようにアドバイスしてくれた。 

で、最後に 
「霊という奴はな、大抵は弱い。△△さん生きてるじゃろ。生きてる人間の方が強いんじゃ。エネルギーがあるんじゃ。生きてるエネルギーは 
それはそれは強いもんじゃ。生きてるというのはそれはそれは尊いことよ。死霊なんかには負けないて。ハハハ。」 
とのことだった。妙に説得力があって有難い話しだった。

で、帰り道、スーパーで食塩と習字用の紙を買って帰って、霊と対決する事にした。布団の四隅には習字用の紙にタップリ盛り塩。 
なんか不思議と結界の中に入った気分になって安心感が半端なかった。 
そしてついに就寝。ウトウトしてきたとき、金縛り、そして奴が来た。ヤッパリ来た。予想を裏切らず来た。 
いつもどおり「うぉぉ…」言いながら布団の周りを回っている。だが、一向に布団の上にのし掛かってこない。 

盛り塩が聴いてる!!と確信できた。 

で、住職の生きてる人間の方が強いって言葉を思い出して、勇気が出てきた。 
心の中で「おいこら悪霊。ワレなんのつもりで俺に喧嘩売っとんじゃコラ!! 俺に勝てると思ってんか!!(何故か関西風)」 
と自分を奮い立たせ、思い切って目を開けた。 
はっきり見えた。デカイ女。髪の長いデカイ女。目は見えないが鼻もデカくて出っ歯の女。 
ひるまずに出ない声で口パク気味に「何だてめぇ。何の用だ。消えろ。ぶっ飛ばすぞ!ぶっ飛ばすぞ‼」言ったった。 
そこで記憶が無くなって、気がついたら朝だった。本当の霊だったのかどうか解らないけど、一つ夢じゃないって証拠があった。 
盛り塩の一部に指で引っ掻いた跡みたいなのがあって、塩が散らかっている山があった。散らかっている側は布団側とは逆 
(結界の外側の方)だったので、自分の寝相が悪くて散らかしたとは考えにくい。 

やっぱり霊っているのか……?と思う瞬間だった。そして、それ以来、就寝中の金縛りも布団の周りを回るデカ女も出なくなった。 
目の下のクマも消えた。健康な生活に戻ることができた。 
ありがとうA。 
ありがとうございました住職。