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 そして女は「貴船大明神」にこう願った。 
「貴方を七日間願い奉る、どうか憎々しい女を呪い、取り殺す方法を教えて貰いたい」 

その願いが通じ、「貴船大明神」は女にある呪術を教えた。 
その呪術とは周知であり世間一般で最も有名な呪術だと思われる…そう「丑の刻参り」だ… 
だが世間で知られる物とは違く、恐らくこれが元祖の物と思われる。 

白い衣装を纏い、髪を五つに分けて角のようにし、顔には朱、身には丹を塗り、鉄輪を逆さに被り、鉄輪の足に松を塗り火を付け、更に松明を口にくわえ両端に火を付ける。 
その状態で河瀬に二十一日間浸かるという壮絶な物だ。 

その苦行を達成し、遂には女は生きながらにして鬼となった。 

鬼となった女は四十九本の頭の無い釘を女の家に向け人型に刺し、女を取り殺した。 

女は歓喜とした男が戻って来ると…だが男は戻らかった…鬼となった女は完全に見放されたのだ。 
だが女は諦め無かった、どんな仕打ちをされても男を慕う気持ちは無くなら無かった。 
そして女は更に歪んだ思想を持った「自分以外の女がいなければいい」 

女は山に入り、一人の幼子を拾う、頭が通常より大きく異業な姿、奇形児だ。 
女は子供を育てた、自分の目的の為だけに… 

その育て方は悍ましいの一言に尽きる物だった。 
山を通る人を襲い、路銀を奪い、殺した。 
だがそれだけではない、必ず2人一組を狙い、片方を惨たらしく殺した後にもう片方を殺す、そして後に殺した方の首を切り落とし、砕き、粥に混ぜ子供に与えていた。 

古い思想だが、人間の頭には「魂魄」が宿るとされてきた。 
だが「魂」と「魄」は別物で「魂」は死後天に昇る魂で「魄」は重く濁り、死後は頭部に留まり、やがて散って行く魂とされている。 

女は「魄」だけを子供に与え続けた。 
そうする事で怨鎖の念を増幅し断ち切らぬように。 

そして十年の月日が経ったある日、女の目的が実行された。 
恐らく歳にして十二歳位だろうか、自分が育てた子供を生きながらにして首を切り落とした。 
生きながら殺す事で「魂」も「魄」共に頭部に残した。 

そして頭部を人の行き交う街道に埋め、人が行き交う事で「魂」が昇るのを防ぎ、怨鎖の念が増幅する事を待った。 
そして怨鎖の念が増幅し続ける事十二日目、女は頭部を掘り起こし、頭部の中の土と自分の血を混ぜ合わせ土像を作った、悍ましいまでの鬼の像だ。 
それを箱に納め封をし、出来上がったのが「外法箱」だ。 
通常とは作り方も意味も根本から違う恐ろしい物 

それを用いて、町の女を呪い殺そうとした。 

だが、十年という長い歳月が経ち、あれだけ恐ろしく悍ましい事をしてきた女が噂にならない筈がない。 

町に堂々と出て来た女は町人から捕まった「鬼」として。 
そして今までの数々の所業の償いとし、無論処刑となった。 

だが町民達は恐れた、生きながらにして鬼となった女をそのままにしていいものかと…祟りに見舞われるのではないかと… 
そこで丁度来訪していた歩き巫女に相談した。 

歩き巫女はこう町民に告げた。 

「このままで怨念による祟りに見舞われるでしょう、私の指示通りにして下さい」と…