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 そんな億劫な毎日の中で高村は一つの考えに辿りついた。 
「俺も人間の狂気に触れてみたい」 
今思えば何処か壊れてたんだろうなと高村は語っていた。 

高村が考えて導き出した答えは、狂気を生み出す原因の一つ「嫉妬心」を利用する、つまりは浮気をする事だ。 
恵まれたルックスを活かし、何人もの女性と股をかけ、しかもわざとバレるような振る舞いをしていたようだ。 

だが全く上手くいかなかった、皆が一様に浮気がバレる前に離れていくか、バレたらバレたであっさり終わりの繰り返しだった。 

それでも高村は諦めずに繰り返し女性との関係ばかりを求めた。

そんな中、高村は一人の女性と出会った、由美さん(仮名)という女性だ。 

由美さんは浮気がバレても高村から離れていく事も無く高村を本当に好きでいてくれたみたいだった。 
そんな由美さんを高村自身も本気で好きになった。 

それからは由美さん以外の女性関係を絶ち、由美さんの支えもあり生活も仕事も上手くいって、高村は本当の意味で苦難を乗り越えたようだ。 
だがその幸せも長くは続かなかった… 

ある晩の事、余りの寝苦しさに高村は目を覚ました。 
その日は由美さんが泊まりがけで高村の世話を焼いてくれたらしく、一緒に床についていたらしい。 

時間は午前二時…そう丑三つ時と呼ばれる時間帯だ。 
高村は目を覚ましたはいいが金縛りのように体は動かず、動かせたのは目だけだった 
普段の疲れがある為、大して気にも留めず眠れるようになるまで天井を見つめながらボーっとしていた。 

時間にして10分位だろうか、高村はある事に気付いた。 
誰かが部屋を歩く気配がする… 
部屋の角にベッドがあり、壁側で寝ていた高村は気付かなかったようだ。 

「こんな時にマジかよ…空き巣だったら洒落にならんぞ…」 

そう考えた高村は必死に目を動かし、歩いている者を目で追った。 
それは女だった、しかし様子がおかしい…女は歩き回るだけで何かを物色している感じでは無かった… 

異様な光景に高村は女から目を離せずにいると、今まで歩き回っていた女は急に立ち止まり、高村達の方へフラフラと近付いてきた。 

女はベッドの前で立ち止まり、由美さんの顔を俯くように見つめていたらしい。 
高村は恐怖もあったがそれ以上に「由美さんに何かあったら」とずっと女を睨みつけていた。

そして数十秒程女を睨みつけていると女はゆっくりと顔を高村の方へ顔を向けた。 
高村は女の顔を見た瞬間心臓が止まるかと思う程に驚愕した。 

部屋の明かりは豆電球だけだったが、豆電球の赤さと無関係に女の顔は赤かった、まるで朱で塗られているかのように… 

女は高村を見ると、見るからに醜悪な笑顔を浮かべ、部屋を出て行った。 
しばらくして自然と金縛りが解けた高村は玄関へ行き鍵とチェーンを確認したが何かされた様子は無かった。