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 真嘉比道(まかんみち)は 崇元寺から首里・儀保への抜け道です。嘉平川里之子の妻チルーの墓はこの真嘉比道にありました。 
墓の入り口、嘉平川が石板をはずし中に入り白い布に覆われた棺の蓋を開けると・・・すでに体の肉半分がただれ落ちた妻の死体が現れました。 
まさに鬼気迫る光景でしたが里之子はかなりのお酒を飲んでましたので怖いとも気味悪いとも思いませんでした。 
意識がもうろうとした状況で嘉平川里之子は妻の両足を持参した金槌と長い釘で棺おけにしっかりと打ち付けました。 
「よし!これで妻の亡霊は現れないだろう!」ようやく安心した嘉平川は家に帰りまた酒を飲んで寝てしまいました。 

それからどれだけの時間が経ったでしょうか、暑さで寝苦しさを感じふと目覚めた嘉平川が部屋の暗闇にぼんやりと浮かぶ白い姿をみて仰天!しました。 
なんとそれは妻チルーの幽霊です!! 
~この恨み晴らさずにおきません~ その姿は顔中血だらけ髪は乱れ抜け落ち目は血走り 
~あなたは、あなたは私の足を釘で打ち付けましたね!だから私はこんな姿になって・・・ 
~ なんとチルーの亡霊は両足を釘で打ちつけられた為、逆立ちの姿で嘉平川の目の前にぶら下がって現れたのです! 
チルー・逆立ち幽霊は毎晩のように嘉平川の家に現れました。 
困り果てた嘉平川は首里は守礼の門近くの天界寺から御札・護符をもらい屋敷の角々に貼り付けました。 
それからというもの、嘉平川里之子の前にはチルーの亡霊は現れなくなったのですが、、、、。 


真嘉比道は昼間でも寂しい通りで夜になれば人通りもなく薄気味悪い場所でした。この真嘉比道に逆立ち幽霊が出るようになったのです。 

ある日、池城里之子という人がこの道を通りかかりました。 
彼も逆立ち幽霊の噂は聞いていましたが「この世に幽霊などいるはずがない、あるにしても幽霊が出るのは何か理由があるに違いない!」と考えていました。 
彼はどんどん通りを進み帰宅を急いでおりましたが・・やはり彼の前にも逆立ちの幽霊は現れました! 
その姿を見た池城里之子は一瞬たじろぎますが勇気を出して逆立ちで現れた幽霊に問いかけます「お前は何故毎晩この場所にそんな姿で現れるのだ・・」と。 
すると逆立ち幽霊・チルーの亡霊は今までの身の上を語った後 次のように池城に哀願します・・・。 

~ 嘉平川の屋敷には天界寺の護符が貼られているため屋敷の中に入って怨みを言うことができません。 
お願いです!あの護符を剥がしていただくわけにはいきませんか!・・。 
そのことをお願いする為に、毎晩この場所で何人もの前に立ちましたが、みんな私の姿を見ると逃げてしまいます! 
どうか里之子様!私の願いをかなえてください!! 
 以前から嘉平川の妻に対する仕打ちを噂に聞いていた池城里之子。 
亡霊チルーの言葉に心を動かされ道義に外れた嘉平川里之子の行動を怒り哀れなチルーの為に一肌脱ぐこと約束します。 
その夜 池城は嘉平川の屋敷に貼られていた護符をすべて剥がしてやりました。 
一方嘉平川はいつになく寝苦しさを感じ遅くまで寝られずにいると、やがて逆さまの姿で現れたチルーの亡霊に呪い殺されてしまいました。 

 その後チルーの亡霊は一度だけ現れました。それは嘉平川の屋敷ではなく自分の願いを叶えてくれた池城里之子の屋敷でした。 
チルーは池城にこう告げます。 
「池城家の墓の中に水溜りがありその中に三匹の鯉がいます。この鯉を家で飼うように、」と。 
それは彼女の最期の言葉であり池城里之子への感謝の贈り物でした。 
 三匹の鯉は池城家に幸運をもたらし池城里之子本人も国王の役職に就き、その子孫も繁栄したとのことです。 

ちなみに池城さん実在してたらしくてその後中国で貿易かなんかやってたみたいだけど病気でおなくりになったらしい 
で中国で埋葬されてたみたいだけど何十年か前に遺骨沖縄の実家に戻されたらしい 
今現在池城さんのお墓もあるし子孫もいるらしい