KAZUHIRO001_TP_V

 しばらく歩いていたがやはりさっきの事が気になり、振り返るとさっきの女性は道路の中央に移動しており、俯きながらも俺の方を向いていた… 
俺は少し恐怖を覚えながらも「歩けるなら大丈夫だろ」と気にしないように再びT宅へ歩を進めた。 

俺は足早に歩いていたが後ろにある気配は消えない、それどころか近くなっているように感じ始めた。 
俺は数年前に体験した恐怖が甦ってきた、またあんな目に遭うのかと… 

そこから俺は振り向きもせず全力でT宅へ向け走り出した。 

すると後ろにいた気配も俺に向かい動きだしたのがわかった…まるで引きずるかのように「ズッズッ」と後ろから聞こえてくるからだ… 

全力で走っているにも関わらず音は少しづつ近付いているように思えた。 

「ヤバイ追いつかれる」と思った時だった、前方に歩いて来るサラリーマン風な人が見え、俺はその人の側へ駆け寄り、後ろを振り返った。 

俺が来た道には何も無く、サラリーマン風の人からドン引きされた顔で「何ですか?」と言われ「すいません」とだけ言いT宅へ走った。 

T宅に無事に着いたが汗だくの俺を見て「早いし、何張り切ってんだよ」と笑いながら言われ、俺は引き笑いしか出来なかった。 

それからは何事も無くTと共に合コンという名の戦場へ向かったが結果は言うまでも無く惨敗だった。 

Tはいつも惨敗した後に反省会を開く、余程悔しいのだろう、反省会と言ってもT宅での飲み会がだが(殆どは昔程では無いが血の気が多いTの喧嘩が原因) 

その日も反省会を開くとT宅へ向かっていたが道中で先程あった事をTへ話すと酒が入ってるからか「だるまさんが転んだみたいやな、また何かあったら俺が行ったる」と笑いながら言っていた、この後真っ青になる等とは思いもよらなかっただろう。 

T宅のアパートの前に誰かが立っていた、恐怖が甦ってきて顔を引き攣らせているとTが「見てくるわ」と少しだけ近付くとすぐ折り返し戻ってきて「黒い…ワンピース…」とだけ言った… 

俺はどうしていいか分からずオロオロしていたらTが「とりあえずここにおっても意味無いし、お前の家行こうや」と言われ俺達はT宅を後にし、自宅へ向かった。 

会話も無く二人歩き、自宅へ差し掛かった時恐怖は一気に倍増した… 

俺のアパートは2階建てで俺は2階の一室を借りているのだがアパートの外階段のしたにあの女はこちらを向いたまま立っていた。