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みんな今起こった事を理解しようとあぁだこうだと言い始める。 
「Dのお母さんが呼ぶはずはない。一人っ子のお前を殺すなんて考えられん。」 
Dのお母さんは、少し前の台風で亡くなっていた。 
 
この日降りた場所の対岸にある島で、夫婦で小さい寿司屋を営んでいたが、一人っ子の息子が 
心配で、台風の中、夫婦で車で帰宅途中、道路が陥没し車ごと海に流され父親は助かったものの 
母親は、溺死していた。 
みんなその事を知ってし、葬式にも出てる。 
 
厨房にもなってもそれぐらい溺愛されていたんだから、疑う余地がないと言うのが、 
みんなの意見だった。 
また、みんな黙る。 
Eが言い出した。 
 
「D君、運転中にも途中の直角カーブの直前で、急にバンザイして、俺、凄い慌てて、 
後ろからハンドル握って、体倒して死ぬかと思った。」 
もう、それ聞いて、みんな青ざめた。 
 
こいつ、絶対、なんかに取り憑かれたと俺は思った。 

そんな会話の中で、至った結論は、変な霊に取り憑かれて、その霊がお母さんのフリをして、 
Dを殺そうとしたって事になり、怖いから帰ったら、お清めの塩を体に撒けよという事で、解散した。 
あまりに怖く、みんな始めての体験だったので、この日の事を話す人間は居なかったし、 
段々とクラブや高校受験の対策やらで、忙しくなって行き、夜出歩く事も少なくなっていった。 

あの事件から数年がたち、あの当時のメンバーもAが本格的にDQNになり、 
本職さんにも、警察にも追われる身になったりと、色々あったが、それなりの生活を 
送る社会人になった頃。俺と親友のB、Cで飲みに出ることになった。 
Bは、DQNだったが頭良く。三人の中で一番稼ぐ奴になっていた。 

というか、20代前半であれぐらい稼げれば、勝ち組決定した様なものだった。 
その日も、Bの奢りで飲み歩いていた。 
スナックの様な飲み屋で、怖い話に話題がなった。 
そこで、ふとあの事件を思い出した俺が、もう何年もたったし良いだろうと、 
「時間もたったし、あのDが取り憑かれる事件。あれヤバかったね。」 
「E、死んじゃうし。」 
そう、あの事件以降、実はもう一つ厨房時代、事件が起きていた。 
相変わらず仲の良かったDとEは、地元の解体屋のおっさんからミッション付きの 
50ccバイクを内緒で格安購入し、乗り回してた際、出稼ぎメキシコ人が運転する軽トラが逆走して来て、正面衝突。 
運転手のDは顔面からフロントガラスに突っ込み、顔面凶器に、その他、骨折。 
一時はICUに居た。 
後ろに乗っていたEは、反動で後ろに吹っ飛び、ノーヘルだった為、酷い脳挫傷で亡くなっていた。

俺的に気になっていた事を言ってみることにした。 
「今だから言うけど、あの死んだ場所って、あの時、原付止めた場所だよね。」 
と俺が言うと、Cは続け様に、 
「そうそう、あれね。あの事件の前にも実は、ヤバイ事が実はあったんだ。」 
俺とCは、その話を知らない。 
B曰く、実はあの日の数日前に、一度、ボロいあのC車をあの山の中腹にある地元ルートの途中の小川に捨てたが、 
前日、ヤッパリ台数ないとみんなで移動出来ないからって、絶好調のA車に3人のりをし、 
C車を引き上げに行ったらっしい。 
で、後輩のEが、水たまり程度しか水の流れていない小川に入り、原付を引き起こした際、 
ハンドルに何か絡まっているのを触ってしまって、「わぁーーー気持ちわりぃーーー」 
と叫んだらしい。 
で、手に絡まったそれを見ると、それは人の髪の毛だった。 
Bは、そんな気持ち悪い原付なんて乗れるかと内心思い、その日は、A車に乗って帰り、 
事件当日も、B車に乗ったんだそうだ。

Dは、普段、運転させて貰えないから喜んでC車の運転手に。 
そのDの弟的Eは、その後ろになったという事だった。 

Dは、次の日普通に登校し、特に違和感を感じなかったが、Eはあの日以来、ずっ 
と、顔色が悪かったって事。 
俺達三人は、あいつは取り憑かれたままだったんだって事になった。 
 
しかし、解らない事もある。あの髪の毛は、死人の物???それとも生きている 
人が呪いとかに使った物??? 
少なし、自殺者が出たなんて話は、小さい地元では当時なかった。 
俺は、今もその田舎に居る。Eが亡くなった場所も、歩いて3分くらいの所で、生 
活してる。 
 
この話を思い出すと、今でも本当に怖い。俺自身は、霊とか見たこともないし、 
見たくもない。 
 
しかし、葬式など行ったりして、違和感を感じたら、根拠はないが、心の中で何 
も出来ませんよと思いながら、 
体に塩を撒く事だけは欠かさない事にしている。