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ややこしい話なので、まずは自己紹介から。 
私の家は祖父母が某カルト宗教の人でした。 
祖父はそこでも偉い方の人です。近所の人たちを集め家で説法のようなことをしていました。 
一方祖母は、私が物心ついたころには、子供から見ても明らかに心を病んでいて、意味不明なことを口走ったりする人でした。 
私も私で、幼い頃は発達障害を疑われていて、毎月病院に脳波を計りに行ったりするような子でした。 
母子家庭に近い環境だったのですが、祖父母の娘である私の母は、どちらかというと現実主義者で、自分で 
起業したりするような人で、祖父母の宗教活動にはまったく関与していませんでした。 
そんな環境でしたので、私は祖父母の家、カルト宗教の寄合所に預けられることが多かったのです。

私が小学生くらいの時の話です。 
祖母が他人の空き地に無許可で祠のようなものを建ててしまったのです。 
当然教団すべてに関わる騒ぎになります。 
しかし祖母は、そこに祠を建てないとだめだと言い張ります。 
地主さんは寛容な人で私たちのお話をちゃんと聞いてくれてはいたのですが、小さなビルを建てることが決まっていて、 
その工事が始まる前までは置かせてくれるということになりました。 

その後しばらくして、ビル建設が始まりました。祖母の祠は壊されてしまいました。 
しかし、地主さんはわざわざビルに入る予定の会社を教えていただきました。 
祖母と祖父はそれらのいくつかの会社に頼み込んで、一社から、オフィス内に小さな神棚を付けさせてもらう約束を 
取り付けました。 
ビルができ、約束通り(一階にある会社です)、そのオフィスに神棚を取り付けさせてもらいました。 
私は中学生になっていて、病院にも通わなくなっていました。

私は東京の大学に進学しました。 
祖父は私が中学生の頃に亡くなりました。祖母も、その心労からか、目の病気を患い、片目に義眼を入れ、 
残っている方の視力もあまりないという状態でした。 
入退院を繰り返し、たまに母の家に戻るくらいでした(祖父母の家は引き払ったのだと思います)。 
しかし不思議なもので、そういった体であるにも関わらず、逆に祖母の心の病は回復しているようでした。 
時々帰省して祖母に会うと、「祖母も昔はこうだったのだろうな」と思ってしまうぐらい、まともな会話ができる状態でした。