SHI68_jinjyanotuna_TP_V

 話を持ちかけてきた窃盗団からの提案で、捕まるリスクを減らすためご神体や本尊など、無くなると 
すぐに目立つものは贋物を用意するといったこともやった。これは非常に効果的だったらしく、すり 
替えられたことに全く気が付かない、あるいは発覚してもずっと後のこと。十分以上の儲けがある 
上、ノーリスクを得られるため贋物を用意する費用など全く問題にならなかった。大小関係なく片っ 
端から神社仏閣から盗みを働いた。有名な神域、古刹にも手を伸ばした。 
それがあまりにも有効だったため、Cが活動していた後期には様々な窃盗団が真似をしており、盗 
みに入った先、いざ交換しようとしたらすでに別の窃盗団が交換した贋物だったということも珍しく 
なくなっているほどだった。

そうした犯罪歴を語り終えるとCは満面のしかし邪悪な笑みを浮かべ、 
「わたし、日本人大嫌い。あいつらが贋物をありがたがって拝んでるのを見ると笑いが込み上げて 
くるよ。……Jさん(先輩の偽名)あんたホントに中国人か?」 
そう言ってきたそうだ。 
先輩はやべぇ!と思いつつも動揺を押し隠して誤魔化したが、その時に店内にいた客も店員も全 
員がこちらを見ていた。その顔はCのようなニヤニヤとした嫌な笑顔か、全く感情の見えない無表 
情だったらしい。 
心臓をバクバク言わせながら、予定の質問を終え当初から用意していた封筒を渡し(報酬だそう 
だ)、こちらは予定になかった飲み食いした代金の倍の金額をテーブルに置いて店を出た。 
すぐさまホテルへ戻るとさっさと引き上げてその日のうちに中国へ渡り、5つの都市を経由してやっ 
と日本に戻ってきたそうだ。

「あいつら、もはや本能に日本嫌いが刷り込まれてるよ。日本に今、どれだけ本物が残ってるんだ 
ろうな」 
と先輩はつぶやくように言った。 
その話自体も確かに怖かったが、私はふとある呪法について思い出して更に顔を青ざめさせた。 
ネットで怖い話を探すとたまに見つかる、拝む者の運気や祈りを吸いだして術者へと流す呪い。も 
しすり替えられた贋物にこの呪法が仕込まれていたら? 
そんなものが日本中の神社仏閣にあったら? 
若干、挙動不審気味に周囲を見回した先輩が続けて言った。 
「実は日本に帰ってきてもまだ安心できてねーんだよ。奴ら日本ではS学会とも繋がりもってや 
がったからよ」 
……うわぁ。 

終わりです。