YAMASHA85s009_TP_V (1)

Aか?と呼びかけても返事がなくその音がずっと続いていました。 
何が音の原因か気になる反面それを確かめに行く勇気はありませんでした。 
携帯でAにまだー?とかメールを打っていた時に懐中電灯の光がこっちに向かってくるのが分かりました。 
音がする方向とは真逆からAが帰ってきました。 
Aが顔色悪いけどおなかでも壊した?と聞いてきたので事の次第を話すと 
確かに聞こえるけど木が風で揺れてるだけだろって適当に流されました。 
しばらくしてご飯が炊けて蒸し終わったのでカレーをかけて食べました。 
気のせいか音はどんどん大きく近づいてるような気がしました。
俺が音が大きくなっていないかとAに言うと 
Aも先ほどとは違い確かにと真剣な顔で応えてくれました。 
熊が出る可能性があるという説明は事前にうけていたし 
熊の可能性もあると思い携帯のワンセグでテレビの音を大音量で流したり 
飯盒やら鍋やらで金属音をたてて威嚇してみることにしました。 
ここでまず昼間見ることができたワンセグのテレビが二人ともつながらない 
まずここで二人とも少し焦りましたがまぁ山の中だし電波が不安定なんだろうと 
すぐに金属音を鳴らす方に集中し始めました。

するとヌチャッ ヌチャッ という音が途切れ 
ヤァーン ニャアーン ニャァーンと赤ん坊が泣くような声がしました。 
俺は一瞬ぞくっとしましたが猫を飼ってるAがほーらやっぱり猫だ 
発情期の猫の声だよwと笑って座りました。 
それでも俺は嫌な汗がとまりませんでした。 
今日はやっぱり車の中で寝ないか?とAに提案しましたが 
せっかくキャンプにきてんのになんでw相手にしてもらえず 
結局そのままテントで寝ることになりました。 
相変わらず鳴き声が外でしています。

とりあえずその声が不気味で怖くてしかたなかった俺は 
一晩中テントの外においてあるランタンの光とテントの中のライトをを消さないでいてくれと 
Aに懇願しました。 
Aは笑ってまだ怖がってるよwなどといいつつも了承してくれて 
二人ともそれぞれの寝袋に入りました。 
おやすみと言い合い30分ぐらいして外の鳴き声がやまないのでAが 
うるせぇ!と顔だけテントから外に出して叫びました。 
するとぴたっと声がやんだあとにバキバキっと枝が折れるような音がしました。 

するとAがすぐに顔をテントの中に戻し俺のほうを見て 
なんかいる…とつぶやきました。 
なんかってなんだよと聞き返しますが 
Aはなんかいる…としか応えてくれません。 
最初は怖がってる俺をさらに怖がらせようと冗談を言っているんだろうと思っていましたが 
Aの真剣さからそれが嘘ではないことに気づきました。 
さらにテントのまわりに何かの気配を感じました。 
それも二人とも同時に、間違いなく猫ではなく大型の何かの気配です。 
そこら中で枝の折れる音や草が踏まれる音がします。

Aが熊かもしれないしやっぱり今日は車で寝ようと提案してきたので 
俺はすぐにそれに賛成しました。 
ですがまだテントのまわりに何かがいる気配がするのでテントの中から出るに出られない状態でした。 
Aに顔を外に出した時に何か見えたのか聞いてみたんですが 
その時はランタンの光があったので何かいればわかったはずなんですが特に何もいなかったと 
ただ枝が折れる音がしたすぐあとに何かに見られているような視線を感じたとのことでした。 
ほんの2~3分のことなのでしょうが外の気配を感じながら狭いテントの中にいるのは 
とても長い時間のように感じました。 
急に物音がやみ舌打ちのようなチッチッチッチッチという音がしはじめました。 
そのあと息を吸うような音がしました。 
Aがしびれを切らしたのかうるせぇ!と外に飛び出しました。 
俺も一人でテントに残るのはいやだったのでつられて外にでましたがまわりを見渡すと 
何もいませんですが何かに見られてるような視線は確かに感じます。